単一の予測ではなく、複数の物語で未来に備える――OECD欧州委員会、英国政府、オランダのPBL・CPBは、なぜシナリオ・プランニングやフォーサイト、バックキャスティングを使うのか。1970年代のシェル社の石油危機対応から、EUの参照シナリオ、オランダのWLOシナリオまで、政府資料・国際機関資料をもとに整理し、事実と推論を明確に分けて記述した。政策提言や日本への適用可能性は論じない。

将来をどのように考えるのか―シナリオ・プランニング、フォーサイト、バックキャスティングの理論と政策への適用

本レポートは、海外の政策立案や都市計画において、将来をどのように扱っているのかを、将来研究(Futures Studies)および政策科学の視点から整理することを目的とする。特に、単一の将来予測ではなく複数のシナリオを用いる理由、その理論的背景、実際の政策への適用事例を整理する。本レポートでは政策提言・独自見解は行わない。日本への適用可能性も論じない。制度・理論・実証事例を整理することのみを目的とする。エビデンスが示していない事項については「不明」と記載する。

目次

第一章 将来研究(Futures Studies)とは何か

Forecast・Projection・Scenarioの違い

第1部で確認した通り、人口学の分野では”projection”(投影)と”forecast”(予報・予測)が概念上区別されており、投影は条件付きの性質を持つのに対し、予報は将来の展開を正しく言い当てることを主張する性質を持つとされる。将来研究の分野では、これに”scenario”(シナリオ)という第三の概念が加わる。気候変動分野における用語解説は、シナリオを「予測(prediction)」や「投影(projection)」と区別し、シナリオはある変数の将来の展開に関する、単純化されることが多い、もっともらしい記述であると位置付けている[1]。同解説によれば、気候投影は排出・濃度・放射強制力に関するシナリオに依存しており、そのシナリオ自体が実現するとは限らない仮定に基づいているため、実現しうる将来を単一の値として示す気候予測とは異なるとされる[1]。

将来研究という学際的分野についてのある学術論文は、同分野が「futures」という複数形の語を用いる理由を、実際の未来を予測(predict)しようとするのではなく、もっともらしい複数の未来シナリオについての投影(projections)を行うためのアプローチであることを示すためであると説明している[2]。同論文は、将来研究の手法が気候変動、戦略防衛、都市計画、製品開発など幅広い分野で用いられていると述べている[2]。

将来研究(Futures Studies)の成立

本レポートで確認できた資料の範囲では、将来研究という学問領域の成立過程そのものについて、単一の確立した年代や創始者を特定した政府資料・国際機関資料・査読付き学術論文は見当たらなかった。ただし、シナリオ手法の実務的な源流の一つとして、1961年にハーマン・カーン(Herman Kahn)が設立したハドソン研究所(Hudson Institute)が挙げられ、同研究所の知見が後述するシェル社のシナリオ策定に用いられたことが確認できる[3]。また、シナリオという道具立てが、企業の戦略計画(strategic planning)から派生した経緯を持つとする学術論文も存在する[4]。

未来は予測するものか、複数想定するものか

欧州委員会は、フォーサイトについて説明する公式ページにおいて、「フォーサイトは未来を予測(predicting)ないし予報(forecasting)することではない。フォーサイトとは、それが示しうる課題と機会を含めて、様々な可能な未来を探索する規律であり、望ましい未来を形作る一助となるものである」と明記している[5]。同委員会はまた、可能な未来(possible)、もっともらしい未来(plausible)、起こりそうな未来(probable)、望ましい未来(preferable)という四つのクラスからなる「未来のコーン(futures cone)」という図式を用いて、単一の予測ではなく複数の未来のクラスを区別して示している[6]。

OECDも同様に、戦略的フォーサイトについて「単一の未来を予測することではない。もっともらしい複数の未来を分析することであり、それがより良い政策立案を支えうる」と説明している[7]。

第二章 シナリオ・プランニング

シナリオ・プランニングの定義

シナリオ・プランニングの実務的な起源は、1970年代のロイヤル・ダッチ・シェル社(Shell)における取り組みに遡るとする複数の資料が確認できる。シェル社の年表資料によれば、同社は1959年にグループ・プランニング部門を設立し、当初は過去のデータに基づく予測手法を用いていたが、1965年に「長期研究(Long Range Studies)」に着手し、単一の予測に代えて複数の内的に整合した「未来についての物語」を策定する手法へと移行したとされる[8][3]。

フランス人石油会社幹部ピエール・ワック(Pierre Wack)は、1985年のハーバード・ビジネス・レビュー誌への寄稿において、伝統的な計画は1950~1960年代の比較的安定した環境においては予測(forecasts)に基づいて概ね機能したが、1970年代初頭以降、予測の誤りがより頻繁かつ時に劇的な規模で生じるようになったと論じている[9]。

Shellにおける発展とその背景

シェル社の1973年の石油危機に関する事例研究によれば、同社の計画チームは1967年から1971年にかけて、石油の技術的な採掘限界と供給不足の可能性に着目した「タイプA」シナリオと、より楽観的だが現実性の低い「タイプB」シナリオという二種類のシナリオを策定した[10][11]。これらのシナリオは、OPEC(石油輸出国機構)諸国が供給に対する自信を強めているという構造的な力を、多くの石油会社幹部が見過ごしていることを指摘するものであったとされる[10]。同社は1973年のオイルショックに際してこの分析を踏まえた迅速な意思決定を行ったとされ、その後1970年代後半にかけて世界の石油メジャーの中で第7位から第2位に順位を上げたとする資料がある[10]。

ピエール・ワックは、シナリオは予測ではなく「精神のリハーサル」であると位置付けていたとされる[10]。ワックの手法は、伝統的な予測が、直近の過去からの外挿に基づくため、意思決定者が最も指針を必要とする不連続点(discontinuities)においてまさに機能しなくなるという観察に基づいていたとされる[10]。

Peter Schwartzなど主要研究者の整理

シェル社の元プランナーであるピーター・シュワルツ(Peter Schwartz)は、1991年(改訂版1996年)に『The Art of the Long View』を著し、シナリオ・アプローチを体系化した。同書はシェル社内で発展した手法を基礎とし、ホワイトハウス、米国環境保護庁EPA)などの組織とのシナリオ策定の経験を反映しているとされる[12]。同書の趣旨は、シナリオ・プランニングの目的が単一の将来の出来事を予測することではなく、多様な潜在的帰結の範囲を検討することにあると要約されている[13]。シュワルツはグローバル・ビジネス・ネットワーク(GBN)という国際的なシンクタンク・コンサルティング会社の共同創設者でもあるとされる[12]。

複数シナリオを用いる理由

本章第二節・第三節で確認した通り、シェル社の事例やシュワルツの整理は、複数シナリオを用いる理由として、(1)単一の予測は不連続な変化(discontinuities)を捉えられないこと、(2)複数の物語を検討することで意思決定者の思考の幅を広げ、想定していなかった状況への備えを促すこと、という二点を共通して挙げている[10][13]。OECDの戦略的フォーサイトに関する説明も、過去・現在の趨勢の線形的な外挿に基づく予測ではなく、複数の代替的で非線形な帰結を想像する能力を涵養することがフォーサイトの目的であるとしている[7]。

政策立案・企業戦略への適用

シナリオ・プランニングは当初、企業の戦略計画の手法として発展したが、その後、政府の政策立案にも応用が広がっている。次章以降で確認するOECD欧州委員会、英国政府、オランダ政府等における実践は、いずれもシナリオに基づく手法を採用しており、企業発の手法が公共政策の領域に拡張された経緯がうかがえる。

第三章 フォーサイト(Foresight)

フォーサイトの定義

OECDは、戦略的フォーサイトを「変化を予期し、それに備えるための、もっともらしい未来を探索する構造化された体系的なアプローチ」と定義している[7]。OECDの説明資料はさらに、フォーサイトが「単一の未来を予測することではなく、もっともらしい複数の未来の分析である」と明記している[7]。

英国政府(Government Office for Science)は、「フューチャーズ(futures)」「将来研究」「フューチャーズ・シンキング」を、将来について考えるための体系的なアプローチを指す語として用いる一方、「フォーサイト」は、フューチャーズの手法・プロセス・方法を適用する具体的な行為を指す語として整理している[14]。

Forecastとの違い

欧州委員会は、フォーサイトが予測(predicting)や予報(forecasting)ではないことを明記した上で、フォーサイトを、可能な未来を探索し、望ましい未来を形作る一助となる規律であると説明している[5]。OECDの戦略的フォーサイト・ツールキットも、同ツールキットが扱う「破壊的事象(disruptions)」について、これらは予測ではなく、広範な調査・専門家協議・ワークショップを通じて特定された仮説的な将来の展開であると明記している[15]。

OECD・EU・英国政府におけるフォーサイト

OECDの戦略的フォーサイト・ユニット(Strategic Foresight Unit)は、事務総長室の下に2013年に設置された。同ユニットは、それ以前に存在した「INTERFUTURESプロジェクト」および「国際フューチャーズ・プログラム」を前身とし、戦略的フォーサイトを現代的でエビデンスに基づく予期的な政策立案・ガバナンスの手段として主流化する役割を担うとされる[7]。同ユニットは政府横断的なシナリオ策定プロセスや集合的予測(collective forecasting)演習を実施し、変革的な変化の確率評価や政策の優先順位付けを政府が行う際の支援を行っているとされる[16]。

欧州委員会では、事務総長総局(Secretariat-General)と共同研究センター(Joint Research Centre, JRC)が戦略的フォーサイトの実施を主導している。事務総長総局が全体の調整を担い、JRCがフォーサイト手法・ツールに関する専門知識を提供する体制が取られている[5]。委員会は毎年「戦略的フォーサイト報告書(Strategic Foresight Report)」を公表しており、これが欧州委員会作業計画や複数年計画の策定に反映されるとされる[17][18]。委員会はまた、加盟国の担当閣僚(「未来担当大臣」)が年一回以上非公式に会合する「EU全体フォーサイト・ネットワーク」を運営している[5]。JRCは、EUの将来に関連する14の「メガトレンド」を継続的に監視する「メガトレンド・ハブ」を運営し、政策分野ごとの影響評価に用いるツールを提供している[19][20]。

英国では、政府科学局(Government Office for Science)内のフォーサイト・チームが、複数の政府部門にまたがるフューチャーズおよびホライズン・スキャニング(水平線走査)のプロジェクトを実施している。同プログラムの目的は、政府の戦略・政策・優先順位に情報を提供し影響を与えることとされる[21]。英国議会に提出された証拠資料によれば、政府はホライズン・スキャニングにおける戦略的思考の必要性を認識しており、内閣府のホライズン・スキャニング事務局が、政府科学局のホライズン・スキャニング・センターと連携する体制が取られている[21]。

科学技術政策・地域政策への適用

OECDの定義によれば、ホライズン・スキャニングとは「主に新技術とその影響に重点を置きつつ、潜在的な脅威と機会を体系的に検討することを通じて、重要な進展の初期の兆候を検知する技術」とされる[22]。この定義は、OECDの用語法を採用した米国科学アカデミーの報告書において確認できる[22]。JRCは、都市の緑化、宇宙旅行、将来のモビリティといった個別テーマに関する「シナリオ探索システム(Scenario Exploration System, SES)」を開発し、地域・国レベルの政策担当者向けに提供している[23]。

第四章 バックキャスティング

バックキャスティングの定義

バックキャスティングは、望ましい未来を定義した上で、その未来を現在と結びつける政策・プログラムを特定するために、未来から遡って(backward)検討を行う計画手法である。同手法の基礎は、ウォータールー大学のジョン・B・ロビンソン(John B. Robinson)によって、1982年の論文「エネルギー・バックキャスティング(Energy Backcasting)」で初めて用いられ、1990年の論文でさらに体系化されたとされる[24][25]。ロビンソン(1990)は、バックキャスティング分析を行うには、まず将来の目標・目的を定義し、それを用いて将来シナリオを策定する必要があると論じている[26]。策定されたシナリオは、その物理的・技術的・社会経済的な実現可能性と政策的含意について分析され、分析の過程で明らかになる経済的・社会的・環境的な悪影響を緩和するために、通常は反復的な修正が必要とされる[26]。

Forecastとの違い

ロビンソン(1990)は、バックキャスティングを伝統的な予測(forecast)に対する代替的な手法として位置付けている[27]。ある学術論文は、シナリオ構築の手法には、過去・現在から将来に向かう前向き(forward-looking)な手法が多く存在する一方、バックキャスティング・シナリオは望ましい未来から遡って検討するという逆方向の手法であると整理している[28]。同論文はさらに、バックキャスティングの主たる関心は、どの未来が最も生起しやすいかではなく、望ましい未来にどのように到達するかにあると説明している[28]。

持続可能性政策との関係

バックキャスティングは、1990年代以降、持続可能性に関する政策課題への応用が広がった。JRCの報告書によれば、バックキャスティングは、現状の趨勢を将来に外挿する手法とは異なり、将来望ましい状態を思い描いた上でそれに到達するための手段を定義する手法であり、この特徴が持続可能性という規範的な目標設定を伴う政策領域と親和性を持つとされる[29]。

都市計画・交通計画・気候変動政策への適用

交通分野では、OECDが2000年前後に実施した「環境的に持続可能な交通(Environmentally Sustainable Transport, EST)」プロジェクトが、バックキャスティング手法を用いて、交通に起因する排出量を80~90%削減した場合に欧州の交通システムがどのような姿になるかを検討した先駆的な事例として挙げられる[29]。オランダを対象としたEST研究についての査読論文は、この研究がバックキャスティングを政策立案の革新的なツールと位置付け、代替的な未来像を生成することを目的としたと説明している[26]。同論文はまた、EST基準の達成には、技術開発の大幅な進展と、経済構造の変化を伴う厳格な行動変容の双方が必要であるとの結論が示されたと報告している[26]。

気候変動関連の交通政策分野では、英国・スウェーデン・フィンランド等の各国政府やOECD欧州連合といった国際機関の政策担当者の関心を集めてきたとする査読論文がある[28]。フィンランドを対象とした研究は、単一の望ましい終着点からの逆算という古典的なロビンソン型のバックキャスティングに対し、複数の望ましい未来像(visions)を出発点とする「多元的バックキャスティング(pluralistic backcasting)」という発展形を提示している[28][30]。

第五章 シナリオの種類と位置付け

ベースラインシナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の用語解説によれば、ベースラインシナリオとは、既に施行されている、または法制化・計画済みの緩和政策を超える追加的な緩和政策・措置が実施されないという仮定に基づくシナリオを指す[31]。同解説は、ベースラインシナリオが将来の予測を意図したものではなく、追加的な政策努力がない場合に生じるであろう水準を示すための反実仮想的(counterfactual)な構成物であると明記している[31]。同解説はまた、この用語がしばしば「業務継続(business-as-usual, BAU)」シナリオと同義に用いられるが、百年単位の社会経済投影において「業務継続」という発想自体を捉えることが難しいとの理由から、BAUという用語自体は近年使用が減っていると付言している[31]。

欧州委員会の「EU参照シナリオ(EU Reference Scenario)」は、この種のベースラインシナリオの具体例である。ある学術論文によれば、同シナリオはEUのエネルギーシステムの投影(projection、予報ではない)であり、政策シナリオを比較するための基軸(pivotal baseline)として位置付けられている[32]。同シナリオは、既存の政策枠組みの下での長期的な経済・エネルギー・気候・交通の見通しを提供し、新たな政策提案を評価するための分析基盤を与えるとされる[32]。同シナリオは3~4年ごとに更新されており、直近の版は2020年に公表されているとされる[32]。

トレンドシナリオ

本レポートで確認できた資料の範囲では、「トレンドシナリオ」という語を独立した確立した用語として明確に定義した政府資料・国際機関資料・査読付き学術論文は見当たらなかった。ただし、シナリオ類型に関する査読付き論文は、記述的シナリオ(descriptive scenarios)の一種として、現状の趨勢の外挿に基づき、望ましさの評価を伴わずに将来を探索する「ベースライン」「参照」「介入なし」のシナリオを位置付けている[33]。これらは実務上、本レポートの調査目的にある「トレンドシナリオ」に相当すると考えられるが、この対応関係を明示的に論じた資料は確認できておらず、不明である。

政策シナリオ

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)は、シナリオの類型を政策サイクルの諸段階と対応付けて整理している。同プラットフォームによれば、「政策スクリーニング・シナリオ(policy-screening scenarios、別名ex-anteシナリオ)」は、検討中の様々な政策オプションを表現するものであり、政策設計の段階に対応するとされる[34]。これは本レポートが調査対象とする「政策シナリオ」に相当すると考えられる。

探索的シナリオ(Exploratory Scenario)

IPBESは、「探索的シナリオ(exploratory scenarios)」を、間接的要因(社会政治的・経済的・技術的要因等)や直接的要因(生息地の改変や気候変動等)の潜在的な将来の軌跡に基づき、もっともらしい複数の未来を検討するシナリオとして定義し、政策サイクルの「アジェンダ設定」の段階に対応するものと位置付けている[34]。シナリオ類型に関する査読付き論文(Van Notten et al., 2003)も、探索的シナリオ分析の一例として、欧州の未来に関する「VISIONS」プロジェクトを挙げている[33]。

規範的シナリオ(Normative Scenario)

IPBESは、「目標追求(target-seeking)シナリオ」を「規範的(normative)シナリオ」とも呼ばれるものとして整理し、合意された将来の目標に到達するための複数の代替的な経路を示すシナリオと定義している[34]。この定義は、本章第一節・第四節で確認したバックキャスティングの手法と概念的に対応するものと考えられる。Van Notten et al.(2003)による査読付きのシナリオ類型論も、シナリオがどの程度規範的であるかを、シナリオを分類する第一の特性軸として位置付けており、あらゆるシナリオがある程度は規範を含むという議論が、科学哲学・科学政策研究・科学社会学の分野で長年争点となってきたと述べている[33]。

各シナリオの目的と使い分け

【推論】

以上の各定義を整理すると、ベースラインシナリオ(政策の追加がない場合の投影)と政策シナリオ(特定の政策オプションを織り込んだシナリオ)は、政策評価における「介入前後の比較」という関係にあり、探索的シナリオ(複数のもっともらしい未来を示す)と規範的シナリオ(望ましい目標への到達経路を示す)は、それぞれ「不確実性への備え」と「目標達成の手段の特定」という異なる目的に対応していると考えられる。ただし、これらの区分がすべての政府・国際機関において統一的に用いられているかどうかについては、本調査で確認できた資料の範囲では明らかでなく、不明である。

第六章 海外における政策への適用

OECD

OECDの戦略的フォーサイト・ユニットは、加盟国政府のフォーサイト能力の強化を支援する活動を行っている。同ユニットは、人工知能AI)や合成生物学(synthetic biology)といった新興技術の長期的な影響を検討するシナリオ策定プロセスを、OECD・各国政府・専門家の関係者を交えて実施しているとされる[16]。OECDはまた、2025年に「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイト・ツールキット」を公表し、環境・技術・経済・社会・地政学の各領域にわたる25の「潜在的な破壊的事象(disruptions)」を用いて、2030年から2050年にかけての政策環境の変化に備えるための五段階のフォーサイト・プロセスを提示している[15]。

EU

欧州委員会は、2019年に戦略的フォーサイトを政策立案の改善手段として正式に採用したとされる[20]。委員会は毎年公表する「戦略的フォーサイト報告書」を通じて、気候変動、技術加速、デジタル化、経済・地政学的・人口動態上の大きな転換といった長期的なメガトレンドを整理している[17]。2021年版報告書は、EUの長期的な政策目標の達成能力を確保するための戦略分野として10領域を特定したとされる[17]。委員会はまた、欧州議会と共同で毎年「ESPAS会議(European Strategy and Policy Analysis System)」を開催し、長期的な課題・機会について政治指導者・市民社会・政策専門家・フォーサイト実務者が議論する場を設けている[5]。

英国

英国政府科学局のフォーサイト・プログラムは、大規模で分野横断的な課題を取り上げ、エビデンスを要約した上で将来の可能性を探索する「フォーサイト・プロジェクト」を継続的に実施してきた。過去のプロジェクトには、人口高齢化の将来や都市の将来を扱ったものが含まれるとされる[35]。同プログラムはまた、2023年に公表された「ネット・ゼロ社会:シナリオと経路(Net Zero Society: scenarios and pathways)」報告書のように、特定の政策課題に対するシナリオ策定を継続的に行っている[36]。

オランダ

オランダでは、環境評価庁(Planbureau voor de Leefomgeving, PBL)と中央計画局(Centraal Planbureau, CPB)が共同で、「福祉と生活環境の将来展望(Welvaart en Leefomgeving, WLO)」と呼ばれる長期シナリオ研究を、おおむね10年に一度の頻度で公表している[37][38]。2015年版WLOは、人口動態・経済成長率の異なる「高位(Hoog)」シナリオと「低位(Laag)」シナリオという二つの参照シナリオを提示した[38][39]。2025年版WLOでは、人口・経済・地域、土地利用、モビリティ、気候・エネルギーに関わる四つのシナリオが策定されている[40]。

PBLは、これらのシナリオが、インフラや住宅に関する計画の策定に用いられ、費用便益分析(MKBA)においては使用が義務付けられている場合があると説明している[41]。同庁はまた、これらのシナリオの目的が単一のシナリオを選択することではなく、複数シナリオ間の差異を通じてオランダが将来進みうる方向性の幅を示すことにあると明記している[41]。PBLの長官は、政府が現在の内閣任期を大きく超えて将来を見通すことに困難を抱える一方、住宅・インフラ・電力網の整備といった選択の多くは、より長期にわたって生活様式や福祉に影響を与えるものであると述べ、WLOの将来展望がこうした政策選択に方向性と拠り所を与えるとしている[41]。

国連

国連経済社会局(UN DESA)は、加盟国の戦略的フォーサイト能力の構築を支援する活動を行っている。同局が2025年に公表した「Future in Focus」と題する報告書は、同局が加盟国の長期計画を支援するために提供する手段として、世界経済情勢見通し(World Economic Situation and Prospects, WESP)および世界人口推計(World Population Prospects, WPP)という二つの旗艦的な成果物を挙げている[42]。UN DESAはまた、ドミニカ共和国における「持続可能な開発目標SDGs)のための戦略的計画に関するフォーサイトとシステム思考」ワークショップにおいて、バックキャスティング・ツールを用いた実践支援を行った事例が確認できる[43]。

第七章 ベースラインと政策シナリオ

ベースラインの定義

本レポート第五章第一節で確認した通り、IPCCの用語解説はベースラインシナリオを、追加的な緩和政策・措置が実施されないという仮定に基づく反実仮想的な構成物として定義している[31]。この定義は気候変動分野のものであるが、欧州委員会EU参照シナリオの位置付け(第五章第一節)にも共通する考え方が見て取れる。

政策シナリオとの違い

欧州委員会EU参照シナリオに関する学術論文は、同シナリオが「政策シナリオを比較するための基軸(pivotal baseline for comparing policy scenarios)」であると位置付けている[32]。すなわち、ベースラインシナリオは既存の政策枠組みを前提とした投影であるのに対し、政策シナリオはこれに追加的な政策変化を織り込んだ投影であり、両者の差分が、検討対象となる政策の影響を示すものとして扱われる構造になっていると考えられる。IPBESの分類における「政策スクリーニング・シナリオ(ex-anteシナリオ)」も、様々な政策オプションを表現するものとして、ベースラインとは異なる位置付けが与えられている(第五章第三節参照)[34]。

ベースラインを比較基準とする考え方

研究開発インフラ費用便益分析枠組みに関する学術論文は、政策・事業の影響を「純粋な変化」として把握するために、事業が実施されない場合の反実仮想的な「ベースライン(without-the-projectシナリオ)」を設定する必要があると説明している[44]。同論文は、既存の施設を改善する投資の場合、ベースラインには、施設を稼働可能な状態に維持するために必要な費用便益(「業務継続」ないし「最小限の対応」と呼ばれるシナリオ)を含める必要があると整理している[44]。

政策評価との関係

IPBESの分類における「遡及的政策評価(retrospective policy evaluation、別名ex-post評価)」は、過去に実施された政策の観測された軌跡を、その目標を達成したであろうシナリオと比較するものと定義されている[34]。これは、政策実施前に用いられるベースラインシナリオ・政策シナリオとは異なり、事後的に実際の結果とベースラインの想定とを比較する枠組みである。

【推論】

以上を総合すると、ベースラインシナリオは、(1)追加的な政策変化を仮定しない投影として設定され、(2)政策シナリオとの比較基準として用いられ、(3)政策評価の場面では、事前(ex-ante)の比較基準としても、事後(ex-post)の反実仮想的な比較基準としても機能しうる、という三つの役割を持つと考えられる。ただし、政策分野や国・機関によってベースラインの具体的な設定方法や更新頻度がどの程度異なるかについて、本レポートの調査範囲で網羅的に比較した資料は確認できておらず、不明である。

第八章 まとめ

本レポートで確認できた事実は、以下の通りに整理される。

第一に、将来研究の分野では、投影(projection)、予報・予測(forecast)、シナリオ(scenario)という三つの概念が区別されており、シナリオは「もっともらしい単純化された記述」として、実現するとは限らない仮定に基づく点で予測と異なるとされる[1][2]。

第二に、シナリオ・プランニングは1960~1970年代のシェル社における実務から発展し、ピエール・ワックおよびピーター・シュワルツによって理論化された。複数シナリオを用いる主たる理由として、単一の予測が不連続な変化を捉えられないこと、複数の物語が意思決定者の思考の幅を広げることが挙げられている[9][10][13]。

第三に、フォーサイトは、OECD欧州委員会・英国政府のいずれにおいても、「単一の未来の予測ではない」という点が共通して明記されている[5][7][14]。OECDは2013年に戦略的フォーサイト・ユニットを設置し、欧州委員会は2019年に戦略的フォーサイトを正式に採用し、毎年戦略的フォーサイト報告書を公表している[7][17][20]。

第四に、バックキャスティングは、1982年・1990年のロビンソンの研究を基礎とし、望ましい未来から遡って政策・手段を特定する手法として、持続可能性政策、特に交通・気候変動政策の分野で応用されてきた。OECDの環境的に持続可能な交通(EST)プロジェクトがその代表的な適用事例として確認できる[24][26][29]。

第五に、シナリオには、ベースラインシナリオ(追加的な政策変化を仮定しない反実仮想的な投影)、探索的シナリオ(複数のもっともらしい未来)、規範的・目標追求シナリオ(望ましい目標への経路)といった区分があり、IPBESはこれらを政策サイクルの諸段階(アジェンダ設定、政策設計、政策実施、政策レビュー)と対応付けて整理している[31][34]。

第六に、海外の政策実践としては、OECDの戦略的フォーサイト・ユニット、欧州委員会のJRCによるメガトレンド分析、英国政府科学局のフォーサイト・プログラム、オランダのPBL・CPBによるWLOシナリオ、国連経済社会局によるフォーサイト能力構築支援が確認できた。特にオランダのWLOシナリオは、費用便益分析における使用が義務付けられている場合があり、政策実務に直結した制度化の一例として確認できる[41]。

第七に、ベースラインシナリオと政策シナリオの関係については、欧州委員会EU参照シナリオが「政策シナリオを比較するための基軸」として明確に位置付けられており、政策の影響評価が両シナリオの差分として構成される仕組みがうかがえる[32]。

本レポートで確認できなかった事項、すなわち「不明」とすべき事項も存在する。具体的には、将来研究という学問領域そのものの成立過程について単一の確立した年代・創始者を特定した資料の有無、「トレンドシナリオ」という語の確立した定義の有無、シナリオ類型の区分がすべての政府・国際機関において統一的に用いられているかどうか、およびベースラインの具体的な設定方法・更新頻度が政策分野や国・機関によってどの程度異なるかについては、本調査で確認できる資料の範囲では明らかでなく、不明である。

引用文献

 

年表

  • 1959年 シェル社、グループ・プランニング部門を設立
  • 1961年 ハーマン・カーン、ハドソン研究所を設立
  • 1965年 シェル社、「長期研究」に着手し単一予測からの転換を開始
  • 1967~1971年 シェル社、タイプA・タイプBの二種類のシナリオを策定
  • 1973年 オイルショック発生、シェル社のシナリオが機能したとされる
  • 1982年 ロビンソン、「エネルギー・バックキャスティング」論文を発表(backcasting用語の初出)
  • 1985年 ピエール・ワック、”Scenarios: Uncharted Waters Ahead”をHarvard Business Reviewに発表
  • 1990年 ロビンソン、バックキャスティング手法を体系的な論文として発表
  • 1991年 ピーター・シュワルツ『The Art of the Long View』刊行(改訂版1996年)
  • 2000年前後 OECD、環境的に持続可能な交通(EST)プロジェクトを実施
  • 2003年 Van Notten et al.、シナリオ類型論を学術誌”Futures”に発表
  • 2006年 オランダ、WLO2006版を公表
  • 2013年 OECD事務総長室に戦略的フォーサイト・ユニットを設置
  • 2015年 オランダ、WLO2015版を公表(高位・低位の2シナリオ)
  • 2018年 欧州委員会JRC、フォーサイトに関するコンピテンス・センターを設立
  • 2019年 欧州委員会、戦略的フォーサイトを政策立案の正式な手段として採用
  • 2020年 欧州委員会、初の年次戦略的フォーサイト報告書を公表
  • 2020年 欧州委員会EU全体フォーサイト・ネットワークの発足を発表
  • 2021年 欧州委員会、2021年版戦略的フォーサイト報告書で10の戦略領域を特定
  • 2023年 英国政府、「ネット・ゼロ社会:シナリオと経路」報告書を公表
  • 2024年 UN Futures LabUN DESAと共同でGovernance Futuresフォーサイトを実施
  • 2025年 オランダ、WLO2025版を公表(4シナリオ、2060年まで)
  • 2025年 OECD、「強靭な公共政策のための戦略的フォーサイト・ツールキット」を公表
  • 2025年 UN DESA、「Future in Focus」報告書を公表

用語集

前回・前々回と同様、フォーマット中の外部リンク(jrmkt.com)は出典未確認のため使用せず、組織名には確認済みの公式サイトを付けています。

  • Pierre Wack, ピエール・ワック: フランス出身の石油会社幹部。1970年代にシェル社のシナリオ・プランニングを開発した。
  • Peter Schwartz, ピーター・シュワルツ: 米国の未来学者。1991年に『The Art of the Long View』を著し、シナリオ・プランニングを体系化した。
  • Herman Kahn, ハーマン・カーン: 元RAND研究所のアナリスト。1961年にハドソン研究所を設立し、シナリオ手法の発展に影響を与えた。
  • John B. Robinson, ジョン・B・ロビンソン: ウォータールー大学の研究者。1982年・1990年の論文でバックキャスティング手法を体系化した。
  • Ted Newland, テッド・ニューランド: シェル社の計画担当者。ワックと共にシェルのシナリオ策定を主導した。
  • Shell (Royal Dutch Shell), ロイヤル・ダッチ・シェル: 公式サイト 石油会社。1970年代にシナリオ・プランニングを実務化した先駆企業。
  • Organisation for Economic Co-operation and Development, 経済協力開発機構, OECD(略称): 公式サイト 2013年に戦略的フォーサイト・ユニットを設置。
  • European Commission, 欧州委員会: 公式サイト 2019年に戦略的フォーサイトを政策立案の正式な手段として採用。
  • Joint Research Centre, 共同研究センター, JRC(略称): 公式サイト 欧州委員会の科学部門。フォーサイト手法・ツールを提供。
  • Government Office for Science, 政府科学局: 公式サイト 英国政府のフォーサイト・ホライズンスキャニングを担当。
  • Planbureau voor de Leefomgeving, オランダ環境評価庁, PBL(略称): 公式サイト オランダの環境・空間計画に関する政府系計画局。WLOシナリオを共同作成。
  • Centraal Planbureau, オランダ中央計画局, CPB(略称): 公式サイト オランダの経済政策分析機関。WLOシナリオを共同作成。
  • UN Department of Economic and Social Affairs, 国連経済社会局, UN DESA(略称): 公式サイト 加盟国の戦略的フォーサイト能力構築を支援。
  • Intergovernmental Science-Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services, 生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム, IPBES(略称): 公式サイト シナリオ類型を政策サイクルと対応付けて整理。
  • Intergovernmental Panel on Climate Change, 気候変動に関する政府間パネル, IPCC(略称): 公式サイト ベースラインシナリオの定義を含む用語解説を公表。
  • Hudson Institute, ハドソン研究所: 公式サイト 1961年設立のシンクタンク。シェル社の初期シナリオ策定に協力。
  • Global Business Network, グローバル・ビジネス・ネットワーク, GBN(略称): ピーター・シュワルツが共同設立した戦略コンサルティング会社・シンクタンク。
  • Scenario Planning, シナリオ・プランニング: 単一の予測ではなく、複数のもっともらしい未来の物語を策定する計画手法。
  • Strategic Foresight, 戦略的フォーサイト: もっともらしい複数の未来を体系的に探索し、政策立案を支える構造化されたアプローチ。
  • Horizon Scanning, ホライズン・スキャニング: 新技術等がもたらす潜在的な脅威・機会の初期兆候を体系的に検知する技術。
  • Backcasting, バックキャスティング: 望ましい未来を先に定義し、そこに至る政策・手段を遡って特定する計画手法。
  • Baseline Scenario, ベースラインシナリオ: 追加的な政策変化を仮定しない、反実仮想的な将来投影。
  • Exploratory Scenario, 探索的シナリオ: 複数のもっともらしい未来を検討するシナリオ。
  • Normative Scenario, 規範的シナリオ, Target-seeking Scenario(目標追求シナリオ): 合意された将来目標への複数の到達経路を示すシナリオ。
  • Futures Cone, 未来のコーン: 可能・もっともらしい・起こりそう・望ましいの4分類で未来を整理する図式。
  • Megatrends, メガトレンド: 現在観察可能で、将来にわたり世界的な影響を持つと見られる長期的な駆動要因。
  • EU Reference Scenario, EU参照シナリオ: 欧州委員会が3~4年ごとに公表する、政策シナリオ比較の基軸となるベースライン投影。
  • WLO (Welvaart en Leefomgeving), 福祉と生活環境の将来展望: オランダのPBL・CPBが公表する長期複数シナリオ研究。
  • ESPAS (European Strategy and Policy Analysis System), 欧州戦略政策分析システム: 欧州委員会欧州議会が共同運営するフォーサイト協力の枠組み。

Claudeへのプロンプト

第3部からは、第1・第2部の「人口推計」と「人口変動理論」を踏まえ、**「政策立案では将来をどのように扱うのか」**という方法論へ入ります。
ここで重要なのは、シナリオ・プランニングの歴史を紹介することではなく、「なぜ海外では単一予測ではなく複数シナリオを用いるのか」「ベースラインと政策シナリオをどう区別しているのか」をエビデンスで整理することです。
また、このレポートは後の「LUTI」「EBPM」「政策感応型人口推計」につながるため、「政策提言」は行わず、概念・制度・実践の整理に徹するのがよいでしょう。
以下のプロンプトを推奨します。
Claude執筆プロンプト
あなたは政策科学・将来研究(Futures Studies)・公共政策・都市計画・戦略論を専門とする研究アシスタントです。
以下の条件に従い、エビデンスに基づく調査レポートを執筆してください。

レポートテーマ
「将来をどのように考えるのか ― シナリオ・プランニング、フォーサイト、バックキャスティングの理論と政策への適用」

調査目的
本レポートは、海外の政策立案や都市計画において、将来をどのように扱っているのかを、将来研究(Futures Studies)および政策科学の視点から整理することを目的とする。
特に、単一の将来予測ではなく、複数のシナリオを用いる理由、その理論的背景、実際の政策への適用事例を整理する。
また、
ベースラインシナリオ
トレンドシナリオ
政策シナリオ
バックキャスティング
などの概念が、どのように定義され、どのような目的で使い分けられているかを明らかにする。
本レポートでは政策提言は行わない。
制度・理論・実証事例を整理することのみを目的とする。

必ず調査する事項

将来シナリオがどのような政策文書や計画策定で用いられているかを整理すること。

本レポートで確認できた事実のみを整理すること。
政策提言や独自見解は記載しない。

執筆ルール
政府資料・国際機関資料・査読付き論文を基本的エビデンスとすること。
優先順位は以下とする。
OECD
欧州委員会European Commission
③ 英国政府
④ オランダ政府
⑤ 国連
⑥ 査読付き学術論文
⑦ 大学出版物
⑧ 専門書
Wikipedia・ブログ・個人サイト・コンサルティング会社の記事は引用しない。

エビデンスが存在しない場合
確認できる資料が存在しない場合は、
「現時点で確認できる信頼できる資料は見当たらず、不明である。」
と記載すること。
推測は禁止する。

推論ルール
資料から直接確認できる事項のみを事実として記載すること。
複数資料を比較して導く分析については、
を設け、事実とは明確に区別すること。

自己監査
以下の場合は執筆を中断し、その理由を明記すること。
・信頼できる資料が確認できない
・推測が必要になる
・出典が確認できない

文体
・常体(である調)
・論文調
・客観的記述
・価値判断禁止
・独自見解禁止
・提言禁止

HTML
章は、項目は、必要に応じてを使用する。
章番号は「第一章」「第二章」…とし、中項目以下には番号を付けない。

引用
文中では [1][2] の形式で引用する。
最後に 引用文献 を設け、引用順に番号を付ける。
可能な限り DOI または URL を記載する。

文字数
約30,000字

最重要事項
本レポートは、
「海外では将来をどのように考え、なぜ単一予測ではなく複数シナリオを用いるのか」という問いに対し、将来研究・政策科学・政府資料・国際機関資料・学術研究が示している内容を整理することを唯一の目的とする。
政策提案や日本への適用可能性は論じない。
エビデンスが示していない事項については「不明」と記載し、ユーザーが期待する結論ではなく、確認できる事実のみを記述すること。
この第3-1の位置付け
この構成にするとシリーズ全体の流れがきれいにつながります。
第1部:人口推計とは何か(Projectionの理解)
第2部:人口は何によって変わるのか(人口変動理論)
第3-1部:政策では将来をどう扱うのか(シナリオ・プランニング、フォーサイト、バックキャスティング
第3-2部:政策によって人口は変えられるのか(人口移動・居住選択の理論)
第3-3部:都市・交通政策は人口をどう変えるのか(LUTIアクセシビリティ等)
第3-4部:政策効果をどう測るのか(EBPM因果推論Theory of Change
この順序で進めると、「Projection(投影)」から「Policy Scenario(政策シナリオ)」へと論理が自然につながる構成になります。
第3部-1、承知しました。シナリオ・プランニング、フォーサイト、バックキャスティングの理論と、OECDEU・英国・オランダ・国連における政策実践を調査します。第3-1部を執筆しました(約20,100字)。第1・2部からの流れを受け、「なぜ単一予測ではなく複数シナリオを用いるのか」「ベースラインと政策シナリオの区別」に焦点を絞り、シナリオ・プランニングの歴史紹介に留まらないよう注意しました。
正直な補足です。
優先順位の遵守:OECD(戦略的フォーサイト・ユニット、EST)、欧州委員会(戦略的フォーサイト報告書、JRC)、英国政府(Government Office for Science)、オランダ政府(PBL/CPBのWLOシナリオ)、国連(UN DESA)の一次資料をいずれも確認・引用できました。特にオランダのWLOシナリオは、費用便益分析での使用が義務付けられている例がある、という制度化の実例として押さえています。
「不明」とした箇所:将来研究という学問領域そのものの成立過程(単一の確立した年代・創始者)、「トレンドシナリオ」という語の確立した定義、シナリオ類型区分の統一性、ベースライン設定方法の国・分野間の差異については、確認できる資料の範囲を超えるため「不明」と明記しています。
バックキャスティングの重複回避:第1部・第2部で扱った「投影(Projection)」概念とシナリオ・フォーサイトの違いを、単純な反復にならないよう、各機関(OECD欧州委員会)が実際に使っている一次資料の文言(”not about predicting a single future” 等)で裏付ける形にしました。
文字数:約20,100字で、指定の約30,000字にはやや届いていません。
第3-2部(政策によって人口は変えられるのか)に進む場合は、テーマを教えてください。