規制・民営化はどう評価すべきか。Averch-Johnson効果、Laffont-Tirole(1993年)の規制契約理論(逆選択モラルハザードヤードスティック競争)を整理した上で、英国鉄道民営化(1993年鉄道法)の上下分離を事例研究する。新設章では、WTO貿易円滑化協定を国際公共財として理論的に位置づける。KKシリーズ第9回、第II部完結編。

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はじめに

本稿はKKシリーズ第II部の最終回として、公的企業・規制の理論を扱う。本稿はKK03第4章で確立した費用逓減産業論・自然独占理論、KK06第1章で確立したVickers-Yarrowの所有形態論、KK08第3章で確立した国鉄改革の政治経済学的分析を統合し、より体系的な規制・民営化の理論的評価軸を提示する。第1章では公的企業と民間企業の比較効率性理論を、KK06からの展開として確認する。第2章では規制の経済学として、伝統的な自然独占規制の手法、非対称情報下の規制契約理論(Laffont-Tirole)、そして上下分離の理論と実践を、英国鉄道民営化(1993年鉄道法)を事例として扱う。第3章では民営化・PPPの理論的評価軸として、フランチャイズ契約の理論を扱う。第4章では、当初の構成案になかった論点として、国際物流・貿易円滑化と国際公共財論を扱う。これはKK01で確認したH87(国際財政・国際公共財)を、KKシリーズが当初から掲げてきた「交通・物流」という射程に照らして、独立の章として組み込むものである。

対応するJEL分類は、L32・L33(公的企業・民営化)、L91〜L93(交通産業論)を中心とし、第4章ではH87とも接続する。

1. 公的企業と民間企業の比較効率性理論

1.1 所有形態と効率性 ― KK06からの展開

KK06第1章1.2で確認したVickers and Yarrow(1988年)の所有形態論は、公有企業の非効率性の原因を、目的関数の多元性と経営者への規律付けメカニズムの弱さという、構造的な要因に求めた。この視座を、KK08第3章3.1で確認した国鉄改革の分析と接続すると、次のような理論的な整理が可能になる。すなわち、国鉄という組織が抱えていた非効率性は、単に「国有であること」そのものに起因するのではなく、KK02第4章4.3で確認したNiskanenモデルが示す情報の非対称性、KK08第2章2.1で確認した族議員という政治的な後援者の存在、そしてKK06第1章で確認した目的関数の多元性(採算性と雇用維持・地域振興という複数の目的の同時追求)という、複数の要因が複合的に作用した結果として理解することができる。この複合的な理解は、単純な「民営化すれば効率化する」という因果関係の想定に対して、より慎重な検討を促すものである。

主要先行研究

本節で扱った所有形態論の主要文献は、KK06第1章で確認したVickers and Yarrow(1988年、1991年)に依拠する。詳細はKK06を参照されたい。

2. 規制の経済学

2.1 伝統的な自然独占規制とAverch-Johnson効果

KK03第4章4.1で確認したKahn(1970年)・Sharkey(1982年)の費用逓減産業論は、自然独占を「単一企業による供給が複数企業による供給よりも効率的である」市場構造として理論化した。この自然独占に対する伝統的な規制手法が「レートベース規制(rate-of-return regulation)」であり、規制当局が、事業者の投下資本に対して一定の利潤率(レートベース)を認める形で料金水準を設定する手法である。この手法は、Harvey AverchとLeland L. Johnsonが1962年に発表した論文「Behavior of the Firm Under Regulatory Constraint」において、重要な理論的欠陥が指摘されてきた。AverchJohnsonが示した「Averch-Johnson効果」は、認められる利潤率が資本コストを上回る場合、規制対象企業は、必要以上に資本設備を積み増すことで、絶対的な利潤額を増大させようとする誘因を持つことを示すものであり、この誘因は、社会的に最適な資本・労働の組み合わせからの乖離(資本の過大投入)をもたらす。この理論的知見は、KK03第4章で確認した交通インフラの巨額の固定費用という性質と組み合わさることで、レートベース規制のもとでの交通事業者が、必要以上の設備投資に走る誘因を持ちうることを示唆する。

2.2 非対称情報下の規制契約理論 ― Laffont-Tirole

Averch-Johnson効果が示す規制の失敗は、規制当局が事業者の真の費用構造を正確に把握できないという、情報の非対称性の問題と密接に関わる。この問題を、より一般的な契約理論の枠組みで体系化したのが、Jean-Jacques LaffontとJean Tiroleが1993年に発表した著作『A Theory of Incentives in Procurement and Regulation』である。この著作は、プリンシパル・エージェント理論(依頼人・代理人理論)を規制の問題に応用した先駆的な業績として位置づけられ、軍需産業・公益事業・交通当局といった自然独占産業の規制を、主たる分析対象としている。

Laffont and Tiroleの理論的な貢献は、規制における情報の非対称性を、二つの異なる類型――「逆選択adverse selection)」と「モラルハザードmoral hazard)」――に区別した上で、両者を統一的な契約理論の枠組みで扱った点にある。逆選択は、規制当局が事業者の固有の費用効率性のタイプ(高コスト型か低コスト型か)を、契約締結時点で観察できないという問題であり、これはKK04第2章で確認したKaldor-Hicks基準・シャドウプライス理論とは異なる、より情報経済学的な視座を要求する。モラルハザードは、規制当局が事業者の事後的な経営努力の水準を観察できないという問題であり、この点はDavid BaronとRoger Myersonが1982年に発表した論文「Regulating a Monopolist with Unknown Costs」が逆選択の問題に、Laffont and Tiroleが1986年に発表した論文「Using Cost Observation to Regulate Firms」がモラルハザードの問題に、それぞれ先行して取り組んでいた系譜を、統合的に発展させたものである。

Laffont-Tirole理論の中心的な結論は、規制当局が、事業者に「レント(超過利潤)の抽出」と「効率化への誘因付け」という、二つの相反する目標の間でトレードオフに直面するという点にある。すなわち、事業者の真の費用効率性が高い場合には、規制当局はその事業者から可能な限り多くのレントを抽出したいと考えるが、そのためには、効率性の低い事業者との識別(自己選択メカニズム)を可能にする契約設計が必要となり、この契約設計自体が、効率的な事業者に一定のレントを残さざるを得ないという構造的な制約を課す。この理論は、KK02第4章4.3で確認したNiskanenモデルが示す「官僚機構が情報の非対称性を利用して過大な予算を確保する」という、より単純な予算最大化モデルを、契約理論の観点からより精緻に基礎づけるものとして理解することができる。

Laffont and Tiroleの理論はまた、「ヤードスティック競争yardstick competition)」という手法の理論的基礎も提供する。これは、複数の類似した事業者(例えば地域ごとに分かれた複数の鉄道事業者)の費用データを相互に比較することで、個々の事業者の固有の非効率性を識別し、規制対象の情報優位を相殺しようとする手法である。この手法は、KK06第5章で確認したアルトマルク第四基準――補償額の算定を「効率的な仮想的事業者」の費用構造に基づいて行うべきとする基準――の理論的な実現手段として位置づけることができ、KK06・本稿を通じて、規制契約理論が一貫した理論的な糸として、PSO制度から本稿の一般的な規制理論にまで及んでいることを示している。

2.3 上下分離の理論と実践 ― 英国鉄道民営化(1993年鉄道法)

上下分離vertical separation)――鉄道インフラの所有・維持を担う主体と、列車の運行サービスを提供する主体とを制度的に分離する仕組み――の理論と実践を最も先鋭な形で示した事例が、英国における1993年鉄道法Railways Act 1993)に基づく国鉄British Rail)の民営化である。この改革により、英国の鉄道インフラは、株式公開会社であるRailtrackへと移管され、旅客サービスは、Railtrackに使用料を支払う形で運行権を取得した約25の列車運行会社Train Operating CompaniesTOCs)へとフランチャイズされ、車両はさらに別個の車両リース会社(Rolling Stock Operating CompaniesROSCOs)から調達される、複雑な三層構造(RailtrackTOCs・ROSCOs)へと再編された[1]。この改革の背景には、欧州共同体指令91/440号が、鉄道の運行部門とインフラ管理部門との間に法的な分離を求めたことも、一つの要因として作用したとされる[1]。

この上下分離という制度設計は、KK03第4章4.1で確認したSharkeyの劣加法性の議論――複数のサービス(旅客・貨物、複数の列車種別)を単一の企業が供給することの費用優位性(範囲の経済)――に対する、明確な理論的反証を試みたものとして理解することができる。すなわち英国の改革は、インフラという自然独占の性質を持つ部分(線路・信号・駅)については規制付き独占として維持しつつ、運行というより競争的な性質を持ちうる部分(列車運行サービス)については、フランチャイズ入札を通じた競争を導入するという、KK03で確認した交通インフラの多品目性・複合的性質を、制度設計上、明示的に切り分ける試みであった。

もっとも、この上下分離の実際の運用は、深刻な問題に直面した。2000年10月に発生したハットフィールド鉄道事故は、レール自体の疲労破壊に起因するものであったが、この事故を契機として、Railtrackは経営破綻に追い込まれ、約2年後には非営利の株式保証有限責任会社であるNetwork Railへと事実上再国有化される形で置き換えられた(Network Railは2014年に英国国家統計局によって公的組織として分類されるに至った)[1]。この経緯は、KK03第4章4.1で確認した多品目性の理論的な複雑さが、実際の制度設計において十分に考慮されなかった可能性を示唆しており、複数の学術的検討が、鉄道という技術的に複雑な産業に対して、上下分離という構造改革が本当に適合的であったか、また契約による調整が命令による調整よりも低い取引費用を実現しうるかについて、当初から理論的な疑義を呈していたことも指摘されている[2]。この理論的懸念は、KK03第4章4.1で確認した「戦略的・戦術的・運用的レベルでの統合の経済性を、垂直分離が無視している」という批判として、後年の学術的検討でも改めて確認されている[2]。

英国の上下分離は、また、KK03第4章4.1で確認した水平分離(複数の地域・路線を別々の事業者に分割すること)を、旅客サービスについて約25社という大幅な形で実施した点でも、実験的な性格を持っていた。この水平分離を正当化する経済学的根拠は限定的であったとする学術的な評価も存在する[2]。これらの経緯は、KK09で本格的に検討すべき上下分離論が、単純に「自然独占部分は規制、競争可能部分は市場化」という理念型のみでは捉えきれない、実務上の複雑な調整コストを伴うことを示す、重要な事例研究である。

主要先行研究

本節で扱った規制の経済学の主要文献を一覧すると、次の通りとなる。

領域 文献 要点
レートベース規制の歪み Averch and Johnson (1962) 認可利潤率が資本コストを上回る場合の過大な資本投入誘因
逆選択下の規制理論 Baron and Myerson (1982) 未知の費用構造を持つ独占企業の規制
モラルハザード下の規制理論 Laffont and Tirole (1986) 費用観察に基づく企業規制
規制契約理論の統合的体系化 Laffont and Tirole (1993) 逆選択モラルハザードの統一的な契約理論、ヤードスティック競争
国鉄道民営化の制度設計 1993年鉄道法に関する複数の学術的検討 RailtrackTOCs・ROSCOsの三層構造
国鉄道民営化の経済学的評価 複数の学術誌掲載論文(Transport Reviews等) 垂直分離・水平分離の経済学的根拠への批判的検討

3. 民営化・PPPの理論的評価軸

3.1 フランチャイズ契約の理論と実際

英国の鉄道フランチャイズ制度は、KK09第2章で確認したLaffont-Tirole型の規制契約理論を、実際の入札・契約プロセスとして具体化した事例である。フランチャイズ契約は、複数の事業者が特定路線の運行権を求めて競争入札を行い、最も有利な条件(最小の補助金要求額、または最大のプレミアム支払額)を提示した事業者が運行権を獲得するという仕組みを取る。この仕組みは、KK06第5章で確認したPSO理論・アルトマルク基準が要求する「競争入札を通じた効率的な事業者の選定」という理念を、具体的な制度として実現したものと位置づけることができる。もっとも、フランチャイズ契約には、契約期間中に生じる需要の変動リスク・費用の変動リスクをどちらの当事者(公的機関か事業者か)が負担すべきかという、リスク配分の設計上の困難が伴う。この困難は、KK04第4章で確認したArrow-Lind定理の理論的射程――公共投資のリスクを多数の主体に分散させることの効率性――を、単一の事業者に集中する形でフランチャイズ契約を設計した場合には、その事業者に、本来は分散可能であったはずのリスクプレミアムの負担を強いることになりうるという、理論的な緊張関係を示唆する。英国のGNER(Great North Eastern Railway)が、フランチャイズの再落札後まもなく契約上の義務を履行できなくなった事例が、この種のリスク設計の失敗の具体例として学術的に検討されてきた[3]。

主要先行研究

本節で扱ったフランチャイズ契約理論の主要文献を一覧すると、次の通りとなる。

領域 文献 要点
フランチャイズ契約の理論 The Economics of Franchising(Cambridge University Press刊) フランチャイズ制度の一般理論
国鉄道フランチャイズの事例研究 McCartney and Stittle (2011)ほか GNER破綻事例の詳細分析

4. 国際物流・貿易円滑化と国際公共財論

4.1 H87の理論的整理

KK01第1章1.1で確認したJEL分類のH87(国際財政・国際公共財)は、KKシリーズの構成案において、これまで独立した章としては展開されてこなかった論点である。本節では、この国際的な次元を、国際物流・貿易円滑化という具体的な政策領域に即して整理する。KK01第2章で確認した公共財理論――非排除性・非競合性を持つ財の最適供給という問題――は、国境を越えた文脈においても同様に成立する。すなわち、国際的な物流回廊・通関手続の効率化といった「国際公共財」は、単一の国家が単独で供給しても、その便益が他国にも及ぶ(あるいは他国との協調がなければ十分な便益が実現しない)という性質を持ちうる。

4.2 貿易円滑化協定の経済学

この国際公共財としての性質を最も明示的に示す事例が、世界貿易機関(WTO)が2013年に交渉を妥結し、2017年2月に発効させた貿易円滑化協定(Trade Facilitation Agreement、TFA)である。WTOが2015年に発表した『世界貿易報告書』第C章「貿易円滑化の理論と測定」は、貿易円滑化の経済学的な根拠を、KK01第2章で確認した外部性理論の枠組みで整理している。同報告書によれば、貿易円滑化の便益の多くは正の外部性を伴う性質を持ち、多国間協定を欠いた一方的な意思決定(すなわち各国が個別に通関手続の効率化投資を行うかどうかを判断する状況)のもとでは、この正の外部性ゆえに、効率性を高める投資が過小になるとされる[4]。この診断は、KK01第2章2.2で確認したピグー的伝統――外部性が存在する場合には市場メカニズムのみでは効率的な資源配分が達成されないという命題――を、国家間の政策協調という、KK01では扱わなかった国際的な次元に拡張したものとして理解することができる。

同報告書はまた、貿易円滑化を多国間協定に組み込むことの追加的な便益として、(1)より強い法的確実性の提供、(2)改革を進める政府が国内の支持基盤を形成する上での助けとなること、(3)同様の貿易手続の採用を促進すること、(4)能力制約のある発展途上国への援助提供の調整、という四点を挙げている[4]。この整理は、KK05第4章で確認したBuchanan(1963年)の目的税理論――政策の実現可能性を高める制度設計という視座――と、理論的に共鳴する部分がある。すなわち、貿易円滑化協定という多国間の制度枠組みは、個々の国内改革(通関手続の簡素化)を実現する上での「政治的なコミットメント装置」としても機能しうるという含意を持つ。

貿易円滑化の実証的な効果についても、複数の実証研究が報告されている。世界銀行貿易円滑化支援プログラムTrade Facilitation Support Program)は、2014年の開始以来、58か国において283件を超えるTFA関連措置の実施を支援してきたことを公表している[5]。また、サブサハラアフリカにおける物流パフォーマンスを1パーセント改善するために必要な事前投資は約180億ドルと見積もられる一方、これによって得られる厚生利得は約700億ドルに達するとの推計も報告されている[6]。この費用便益比の大きさは、KK04で確認したCBA枠組みに照らせば、国際物流インフラ・貿易円滑化への投資が、非常に高い純便益を持つ事業でありうることを示唆する。

4.3 KK06との接続 ― 港湾・空港の公的整備論

本章で確認した国際公共財としての貿易円滑化・物流回廊の議論は、KK06第1章で確認した交通インフラの公的整備論と直接に接続する。港湾・空港といった国際物流の結節点は、KK03第4章4.1で確認した費用逓減産業論の典型例であると同時に、本章で確認した国際的な外部性――一国の港湾・通関効率化への投資が、貿易相手国の企業にも便益を及ぼすという性質――をも併せ持つ、複合的な性質を持つ。この複合性は、KK03第4章4.4で確認した交通インフラの「複合的な性質」という視座を、国内的な文脈から国際的な文脈へと拡張したものとして理解することができ、港湾・空港の整備・運営主体の選択(KK06第1章で確認した直接公営・第三セクター・民間委託・PFI/PPPの四類型)を検討する際にも、国際的な外部性という追加的な考慮要素が必要となることを示唆している。

主要先行研究

本節で扱った国際物流・貿易円滑化の主要文献を一覧すると、次の通りとなる。

領域 文献 要点
貿易円滑化の理論的基礎 WTO World Trade Report 2015, Chapter C 正の外部性、多国間協定の追加的便益
貿易円滑化協定の実施状況 World Bank Trade Facilitation Support Program 58か国、283件超の措置実施支援
物流パフォーマンス改善費用便益 Mirza (2009)(サブサハラアフリカを対象とする推計) 投資180億ドルに対し厚生利得700億ドルの推計

おわりに

本稿では、公的企業と民間企業の比較効率性理論(KK06からの展開)、規制の経済学(Averch-Johnson効果、Laffont-Tiroleの規制契約理論、英国鉄道民営化における上下分離の理論と実践)、民営化・PPPの理論的評価軸(フランチャイズ契約理論)、そして国際物流・貿易円滑化と国際公共財論を扱った。本稿を通じて確認できたのは、規制・民営化の理論が、KK01で確立した公共財理論・外部性理論から、KK02で確立した政治経済学、KK03で確立した費用逓減産業論、KK06で確立した所有形態論・PSO理論に至るまで、KKシリーズ第I部・第II部を通じて構築してきた理論群を、総合的に動員して初めて理解できる、複合的な領域であるという点である。とりわけ英国鉄道民営化の事例は、理論的に整合的な制度設計(上下分離)が、実務上の複雑な調整コストに直面しうることを示す、重要な教訓を提供した。

これにより、KKシリーズ第II部(KK03〜KK09)は、KK01・KK02で確立した公共経済学の理論的基礎を、交通・物流分野の主要な政策領域――公共財理論、投資評価論、課税・受益者負担論、公的供給・運営論、地方財政論、政治経済学、規制・民営化論――に適用する作業を、一通り完了したことになる。次回KK10では、KK01で予告した通り、交通アクセスと経済的機会・空間的格差という、KKシリーズの中でも新しい理論的視座――NBER Public Economics Programの現在の研究関心とも重なる領域――を扱う。

参考資料一覧

  1. 1993年鉄道法Railways Act 1993)に基づく英国鉄道民営化の制度設計についての複数の学術的検討(Access Magazine, UK Parliament Research Paper 97/71, ScienceDirect掲載論文等を参照)
  2. 国鉄道民営化の経済学的評価に関する学術論文(Transport Reviews誌掲載論文、およびPMC掲載の追跡研究を参照)
  3. McCartney, S. and Stittle, J. (2011) “‘Carry on up the East Coast’ — A Case Study in Railway Franchising,” Public Money & Management 31(2): 123-130(GNER破綻事例の分析)
  4. World Trade Organization (2015) “World Trade Report 2015,” Chapter C: “The Theory and Measurement of Trade Facilitation
  5. World Bank, “Trade Facilitation and Logistics” (Trade Facilitation Support Program概要)
  6. Mirza (2009)(サブサハラアフリカの物流パフォーマンス改善効果の推計、Hoekman論文における言及を参照)

年表

用語集

Claude ログ

タイトル案(3案)
交通公共経済学 ― 公的企業・規制の理論(本編採用タイトル)
なぜ英国の鉄道民営化は迷走したのか ― 上下分離とLaffont-Tiroleの規制理論
逆選択モラルハザードヤードスティック競争 ― 規制契約理論から国際物流まで

KK09の執筆に入る。目標文字数は約30,000字。まず必要な文献を収集する。Good foundation. Now let me get UK rail franchising and vertical unbundling theory, plus trade facilitation economics.Good material. Now let me get trade facilitation / international public goods theory for the final section.引用整合性は確保できている(6件、過不足なし)。現状のファイルを出力する。KK09「公的企業・規制の理論」を配置した。現状をお伝えする。

完成度: 本文約8,700字(目標30,000字の約29%)。引用整合性(6件、過不足なし)は確保済み。

内容面で完成している要素:

これでKKシリーズ第II部(KK03〜KK09)が理論的に一通り完結した。次はKK10「交通アクセスと経済的機会・空間的格差」に進める段階です。

引き続き文字数は目標に届いていない状態です。KK10に進む前に、全体の方針についてご確認いただければと思います。