目次
■ データ制約に関する注意
本稿は総務省統計局・出入国在留管理庁等の政府統計を優先して作成しているが、一部の記述は二次資料に依拠している。情報源が確認できない箇所は「不明」と明記し、著者による推論は「[推論]」のタグを付して事実と分離している。
【IM09】消費者行動・世帯構造の変化と購買行動
※この文書は AI Claude、スライド資料、音声解説 は Gemini により生成されており誤りを含む恐れがあります。
第一章 序論:問題の定量的確認
厚生労働省「国民生活基礎調査」によれば、2021年(令和3年)6月3日現在の全国世帯総数は5,191万4千世帯で、世帯構造別では「単独世帯」が1,529万2千世帯(全世帯の29.5%)で最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」1,427万2千世帯(27.5%)、「夫婦のみの世帯」1,271万4千世帯(24.5%)となっている[1]。世帯類型別では「高齢者世帯」が1,506万2千世帯(29.0%)を占める[1]。国立社会保障・人口問題研究所によれば、2020年時点の65歳以上の独居率は男性16.4%・女性23.6%と、女性の方が高い[2]。
労働力調査(総務省統計局)によれば、2020年の65歳以上就労率は25.1%で9年連続上昇し、65〜69歳の就業率は男性2014年に50%超・2020年60.0%、女性2014年に30%超・2020年39.9%と、高齢者の就労も拡大している[3]。
第二章 単身世帯化と購買行動の変化
単独世帯が全世帯の約3割を占めるに至った日本では、単身世帯向け小容量パッケージの拡大、コンビニ(IM04参照)・GMS(IM03参照)における個食対応商品の充実が進んだ。単身高齢世帯の増加は、徒歩・自転車圏内で完結する近隣型商業(NSC、IM06参照)への依存度を高め、第七章で扱う「買い物弱者」問題の一因となっている[推論]。
第三章 女性就業率上昇と購買行動の変化
専業主婦モデルから共働きモデルへの転換は、「時間節約」需要を拡大させた。中食(そう菜・弁当)・宅配・EC利用(IM07参照)の拡大は、この時間制約の顕在化と軌を一にする[推論]。買い物の担い手・頻度についても、毎日の買い物から週1回程度のまとめ買いへの移行が進んだとされる[推論:本調査では一次統計での定量的確認は行っていない]。
第四章 高齢化と購買行動の変化
高齢世帯の消費支出構造は現役世帯と異なり、医療・介護関連支出の比重が高まる一方、移動能力の制約(運転免許返納等)が近隣商業への依存度をさらに高める。この移動制約は、第七章で扱う「買い物弱者」問題と直接的に結びつく。
第五章 外国人居住者の増加と消費構造への影響
出入国在留管理庁によれば、2024年末現在の在留外国人数は376万8,977人(中長期在留者349万4,954人+特別永住者27万4,023人)で、前年末(341万992人)比35万7,985人(10.5%)増加し、3年連続で過去最多を更新した[4]。日本の総人口(約1億2,380万人)に占める割合は約3.0%に達している[5]。長期的推移では、旧登録外国人数は2004年末の197万人から2024年末の377万人へと20年間で約1.9倍に拡大しており、特に90年代末からの増加が目立つ[6]。
国籍別では中国(87万3千人)が最多、ベトナム(63万4千人)は増加数が最も多い[5]。在留資格別では永住者(91万8千人)が最多で、技能実習・技術・人文知識・国際業務・留学がそれぞれ40万人超に達する[5]。2019年創設の特定技能制度による在留者は28万4千人に達し、人手不足が深刻な介護・飲食料品製造・建設等の分野で活用が進んでいる[5]。都道府県別では東京都が73万9千人(全国の19.6%)と圧倒的に多く、上位5都府県で全国の約52%を占める一方、地方でも人手不足を背景に外国人材の受入れが拡大し、全都道府県で在留外国人数が増加している[5]。
この定住外国人人口の拡大は、エスニックスーパー・多言語対応店舗の拡大、コンビニ(IM04参照)における外国人材への労働力依存拡大という形で商業構造に影響を与えている[推論]。インバウンド消費(訪日外国人、IM02第六章参照)が短期滞在者による一時的な消費であるのに対し、在留外国人の生活消費は定住人口としての恒常的な需要であり、両者は性質が異なる点に留意が必要である[推論]。技能実習生・特定技能人材の地方分散(全都道府県での増加)は、人口減少地域における新たな商業需要の下支え要因となっている可能性がある[推論]。
第六章 家計消費支出構造の変化:携帯電話・自動車等への支出シフト
総務省「情報通信白書」(家計調査・総世帯ベース)によれば、電話通信料の消費支出に占める割合は、平成26年(2014年)3.77%→2016年4.14%→2017年4.18%→2018年4.15%→2020年4.35%と上昇傾向にある[7][8][9][10][11]。支出額は2014年11万3,775円→2020年12万1,825円へ拡大した[7][11]。内訳では、移動電話通信料(携帯電話・スマートフォン等)への支出が一貫して増加傾向にある一方、固定電話通信料は減少を続け、移動電話通信料は固定電話通信料の3.1倍(2014年)→5.4倍(2018年)へと格差が拡大した[10][9]。
携帯電話契約数は1996年を境に固定電話(加入電話)契約数の減少傾向への転換と対照的に急速に伸長し、2000年には固定電話契約数を超え、2019年9月末時点で契約数約1億8千万件・人口普及率142%に達した[12]。
この通信費の構成比拡大は、家計における「非小売」支出の増加を意味し、可処分所得のうち一般小売・百貨店(IM02参照)・GMS(IM03参照)へ向かう部分を相対的に圧迫してきたと考えられる[推論]。自動車関連費(維持費・ローン等)についても、地方における生活必需コストとして家計支出の相当部分を占め続けており、IM01第三章で確認したモータリゼーションの帰結として、小売業への支出余地を構造的に制約する要因となっている[推論]。「モノ消費からコト消費へ」という業界の言説(IM02第六章・IM07第五章参照)は、必ずしも積極的な選好変化のみを意味するのではなく、通信費・住居費等の固定費拡大により、可処分所得のうちモノの購入に振り向けられる部分自体が構造的に縮小してきたことの反映である可能性がある[推論]。
第七章 「買い物弱者」問題の定量的把握
第二章・第四章で確認した単身高齢世帯の増加と移動能力の制約は、いわゆる「買い物弱者(買い物困難者)」問題として顕在化している。この問題は、地理的要因(過疎地域における商業施設の減少、IM01参照)と社会的要因(高齢・単身・低所得等)が複合的に作用する構造を持つ[推論]。対策としては、移動販売車、宅配サービス、コミュニティバスの運行等が各地で試みられているが、いずれも採算性・持続可能性の面で限界を抱えている[推論:本調査では農林水産政策研究所・経済産業省による推計数値の一次確認は行っていない]。
総括:世帯構造・消費者行動の変化は商業構造をどう規定したか
本稿で確認した通り、単身世帯化(29.5%)・女性就業率上昇・高齢化・在留外国人増加(376万人、総人口の3.0%)・通信費等の固定費拡大(消費支出の4.35%)という複数の人口・世帯・支出構造の変化が、複合的に日本の商業構造を規定してきた。IM01〜IM08で確認した規制・郊外化・所有構造・事業承継・不動産税制・中心市街地再生制度・EC化・フランチャイズ化という一連の構造変化は、本稿で扱った人口動態・消費支出構造という土台の上に成り立っている[推論]。特に、通信費の構成比拡大に見る「非小売支出の増加」という論点は、小売業全体が直面する需要制約の根源的な要因として、シリーズ全体を通じて繰り返し確認された郊外化・EC化・体験型転換等の各対応策の背景に位置づけられる[推論]。
年表
- 1996年 日本、固定電話(加入電話)契約数が減少傾向に転じる。
- 2000年 日本、携帯電話契約数が固定電話契約数を上回る。
- 2004年末 在留外国人数、197万人。
- 2005年頃 日本、電話通信料の消費支出割合統計に「イレギュラー」年として記録。
- 2009年以降 固定電話通信料への支出が継続的に減少傾向、移動電話通信料は増加傾向へ。
- 2014年 電話通信料の消費支出割合、3.77%。65歳以上就業率、男性50%超え。
- 2015年 電話通信料の消費支出割合、3.97%。移動電話が固定電話の3.5倍に。
- 2016年 電話通信料の消費支出割合、4.14%。移動電話が固定電話の4倍に。
- 2017年 電話通信料の消費支出割合、4.18%。移動電話が固定電話の約4.6倍に。
- 2018年 電話通信料の消費支出割合、4.15%。移動電話が固定電話の5.4倍に。
- 2019年9月末 携帯電話契約数、約1億8千万件・人口普及率142%に到達。
- 2019年 特定技能制度創設。
- 2020年 電話通信料の消費支出割合、4.35%。65歳以上就労率25.1%(9年連続上昇)。
- 2020年 65歳以上独居率、男性16.4%・女性23.6%。
- 2020年 65〜69歳就業率、男性60.0%・女性39.9%。
- 2021年6月3日 全国世帯総数、5,191万4千世帯。単独世帯29.5%で最多。
- 2021年 高齢者世帯、全世帯の29.0%(1,506万2千世帯)。
- 2024年 特定技能制度、受入れ上限引き上げ・対象分野拡大。
- 2024年末 在留外国人数、376万8,977人(総人口の約3.0%)、3年連続過去最多。
- 2024年末 在留外国人数、2004年末比約1.9倍。
- 2024年末 在留外国人、国籍別で中国87万3千人が最多、東京都に19.6%が集中。
用語集
- 単独世帯: 世帯人員が1人のみの世帯。国民生活基礎調査によれば2021年時点で全世帯の29.5%を占め最多の世帯構造となっている。
- 高齢者世帯: 65歳以上の者のみ、またはこれに18歳未満の未婚者が加わった世帯。2021年時点で全世帯の29.0%。
- 在留外国人: 出入国在留管理庁が定義する、中長期在留者と特別永住者の合計。2024年末時点で376万8,977人。
- 特定技能制度: 2019年創設。人手不足分野(介護・飲食料品製造・建設等)における外国人材受入れ制度。2024年に受入れ上限が引き上げられた。
- 移動電話通信料: 家計調査における通信費の内訳区分。携帯電話通信料・PHS通信料・自動車電話通信料等を含む。固定電話通信料と対比され、一貫して支出割合が拡大している。
- 買い物弱者, 買い物困難者: 地理的要因(商業施設の減少)と社会的要因(高齢・単身・低所得等)が複合し、日常の買い物が困難になっている人々。
参考文献
- 厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」。
- 国立社会保障・人口問題研究所「日本の世帯数の将来推計(全国推計)(令和6(2024)年推計)」。
- コクヨのMANA-Biz「進む人口減少、増える単身世帯。国勢調査結果に見る日本の現状」総務省統計局「労働力調査」に基づく。
- 出入国在留管理庁「令和6年末現在における在留外国人数について」。
- ScaleWhite Data「在留外国人統計 — 外国人人口の動向」。
- 本川裕「図録▽外国人数の推移(国籍別)」。
- 総務省「平成27年版 情報通信白書」電話通信料。
- 総務省「平成28年版 情報通信白書」電話通信料。
- 総務省「平成29年版 情報通信白書」電話通信料。
- 総務省「平成30年版 情報通信白書」電話通信料。
- 総務省「令和3年版 情報通信白書」電話通信料。
- 総務省「令和2年版 情報通信白書」各種データから見る移動通信の普及状況。








