北陸新幹線などの整備新幹線をめぐるルート選定が難航する背景には、法律・政令・政治判断という「三層のルール」がもたらす構造的な不備があります。現在の仕組みでは、建設費を負担する自治体が受ける便益の多寡は考慮されず、単に路線が通過するという事実だけで巨額の負担が機械的に課されるため、地域間での激しい軋轢が生じています。かつての国営組織から民営化したJR各社の利益構造の変化も相まって、「誰が負担し、誰が恩恵を受けるのか」という本質的な問いが、四国や東九州といった新たな整備計画においても大きな障壁となっています。本書は、単なるインフラ整備の議論を超えて、法律上の目的と負担の基準が乖離している現状が、各地で新幹線計画が停滞する真の原因であることを浮き彫りにしています。