交通ネットワークにおけるナッシュ均衡(UE)が全体最適と乖離する最も劇的な例が、ブライスのパラドックスです。これは、「ある区間に新たな道路を追加し、交通容量が増加したにもかかわらず、システムの利用者全員の平均所要時間が増加してしまう」という、直感に反する現象です 。 このメカニズムは、インフラの改善が、ドライバーの戦略的なインセンティブ構造を変化させてしまうことに起因します。道路を追加すると、一部のドライバーは新設された道路が「個別最適」であると判断し、一斉に経路を変更します(これを誘発需要と呼びます)。その結果、元々混雑していなかった従量区間(交通量に応じて所要時間が延びる道路)に交通量が集中し、全体としてより悪い均衡状態(より時間がかかるUE)へと収束してしまいます。
« 用語索引に戻るブライスのパラドックス
« Back to Glossary Index








