日本独自の通勤手当という慣行:日本では、企業が従業員の交通費を直接負担するのが一般的です。これは一見、労働者に優しい仕組みに見えますが、公共交通の観点からは大きな副作用がありました。
- 企業意識の乖離: 企業はすでに多額の手当を払っているため、それ以上に地域全体の交通インフラのために納税することに強く反対します。
- 受益の個人化: 交通の恩恵が会社と個人の関係に閉じ込められ、地域社会全体で支えるべき公役務という意識が育ちにくくなりました。
フランスの交通税(現在は移動負担金:Versement Mobilité)は、企業が従業員に手当を払う代わりに、自治体に納めます。自治体はその資金で、従業員も、その家族も、高齢者も使える街全体の足を整備します。日本はこの通勤手当という仕組みによって、交通の維持を企業の福利厚生のレベルに留めてしまい、社会全体の権利へと昇華させる機会を逃してきた側面があるのです。
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