鉄道ならではの特質

若桜鉄道は17人の零細企業です。普通であれば、零細企業が地域振興の核となることはあり得ません。しかし、若桜鉄道は鉄道会社のため、以下の特質があります。

  • 鉄道は観光資源になることができる
    津軽のストーブ列車、各地の観光列車など鉄道自身が観光資源となる
  • 地域鉄道は国内94のみ(希少性)
    観光資源として希少価値がある(温泉は全国に3,095もある)
  • 頑張ると新聞やテレビに載る(公共性、信頼性)
    デパートやバスに比べ、訴求力が高い
  • 地図や時刻表、経路案内サイトに載る(ランドマーク性)
    宿泊客の8割は個人客。見つけてもらう事が大事
  • 200万人と言われる鉄道ファンが応援(固定客がいる)
    鳥取県の人口の約4倍、少数ではありません
  • 鉄道は人と人、地域を結びつける(絆)
    地域をまとめる、広域が連携する象徴になりやすい
    駅が地域コミュニティの拠点となりやすい

沿線をつなぎ事を興す

さらに、若桜線は県庁所在地の鳥取市と中山間地を結ぶ鉄道のため、阪急など大手私鉄が行ってきた、ベッドタウン開発、レジャー開発、デパートなどの商業開発のミニ版を行うことができます。自己資本では投資ができませんが、既存の資本と提携することで輸送需要を作り出したり地域経済を活性化することも可能です。

沿線の事業者や団体が鉄道と組んで実施できること(接片)をみつけ、一緒にイベントなどで活動することで、鉄道の利用が増加し、地域や提携先も元気になり

これがマスコミ報道につながり、さらに協業先が広がるという形で発展を続けました。

 

若桜鉄道はギリギリの人数で鉄道を運行しているので、主役となってイベントを造成・実施することはできません。このため、イベント関係の事は八頭町・若桜町の行政の方々や提携先の方々に担っていただき、若桜鉄道は列車や駅を会場として提供しマスコミへの広報や企画アイデアの提供などで貢献するといった分担で、提携を広げていきました。

<連携の例>

  • 観光列車  お寺(宿坊)、大学(学生)
  • Café & Suites 商店街、砂丘
  • 防災(啓蒙)列車 消防
  • ブライダル列車  写真館、美容室
  • SKIキャンペーン  学校、スキー場、テレビ
  • わんわん列車 ペットのマナー啓蒙団体
  • 食材サイクリング JA、沿線農家
  • SL走行社会実験 沿線28団体、企業、媒体
  • 隼ラッピング スズキ、沿線33団体
  • 若桜谷のりものまつり 日本交通、日ノ丸自動車、八頭町、若桜町

このような連携ができたのも、過疎高齢化が若桜鉄道だけではなく沿線の事業者や行政にとっても課題だったからです。単独では解決できないため「鉄道と組んだ方が成果が上がる」と認めていただいたのです。

<各組織が持つ過疎高齢化の課題>

  • 行政  交付税(財源)縮小、インフラ負担
  • 学校 生徒数減、クラス減、廃校
  • 金融  融資先、預金の縮小、店舗撤退
  • 郵便局 簡保の縮小、廃局
  • 商工会  会員縮小、統合
  • お寺 檀家減少、無人化、廃院
  • 鉄道 利用減、収支悪化

外部団体と若桜鉄道の協業が最大になったのが、「SL走行社会実験」や「隼ラッピング パレード」でした。今後はこの体制を定常的に機能する組織に成長させることが課題です。

こうして若桜鉄道は社外の提携先と動き始めたので、社内の改革に手をつけ始めていた所です。鉄道が軸になって周囲が動き出すと、活気も出て来ますし鉄道への期待感も高まります。今まで列車を動かすことだけで身も心も手一杯だった社員も、次第に地域活性化への意識を持ち、運輸以外の社会的価値に誇りを持ち、自発的に動けるようになっていくと期待しています。

稼げるようになれば地域の諸問題も解決に向かう

あきらめ感・視野の狭さ(貧すれば鈍する)、人材/働き手流出・組織の機能不全(形式主義)、足の引っ張り合い・絆の喪失(金持ち喧嘩せずの逆)、行政依存・商人消失(依存症)、、、、、地域の諸問題の根源は「稼げない」ことから来ています。鉄道がきっかけとなって地域が稼げるようになれば、地域の諸問題も解決に向かっていくはずなのです。

いただいたコメント

  • 地域を盛り上げる存在ですね。
  • 個人的には『社内の改革』これが意外と一番難しいのでは、という気もします…
    社長が何度変わってもそこだけは手付かず、みたいな例もありましたし…