コンセプトが画期的

鳥取県東部地域公共交通網形成計画がこの3月に策定されました。なかなかどうして、かなり画期的な内容になっています。目指すイメージは、

人々の暮らし、営みと交流を支える
鉄道やバスを中心とした持続可能な公共交通網の形成により
いつまでも安心して住み続けられる鳥取県東部地域

基本方針は、ネットワーク、利用環境、利用促進、観光客の周遊、維持・存続のための仕組みがキーワードです。他の地域では最後の維持・存続だけを考える計画が多いのですが、公共交通をネットワークとしてしっかりと使えるものにして利用を促して残していこうという意欲が見られるのも嬉しいです。

事業内容も画期的

若桜線が「幹線」と位置付けられた(事業1)

全国から見れば、若桜鉄道は小さな枝線です。しかし、若桜・八頭エリア(若桜谷)にとっては紛れもない「幹線」です。そして、八東川を挟んで並走する日本交通若桜線が「幹線」と位置付けられました。
ともに、郡家駅、若桜駅が「結節点」となり、町営バス・タクシー・過疎地有償輸送などと繋がります。

若桜・八頭エリアの幹線(若桜鉄道、日本交通若桜線)、支線との結節点(郡家駅・若桜駅)

幹線にふさわしく、平日通勤通学時間帯には1時間に1本以上、それ以外の時間帯も90分に1本以上の運行本数を確保しましょうとサービスレベルの目安も設定されました。都会の方から見ればずいぶん少なく見えるかもしれませんが、今までは2時間以上バスや列車が来なかったことや、1日3便しかない路線もある中で画期的なのです。

若桜鉄道に交換施設を新設、15往復に増便(事業2)

若桜鉄道が八頭町・若桜町の観光の軸として位置付けられたこともあり、増便が計画されました。 今後、観光列車の設定など詳細が検討されていきます。 昨今は利用減少に合わせて減便しさらに利用を減らしてしまう負のスパイラルに至っている路線が多い中、これは画期的なことです。

バスの運行間隔を鉄道に合わせて調整する(事業1)

若桜鉄道と日本交通バス若桜線は八東川を挟んで並走しています。今まではバスが出た5分後に列車が出て、2時間はどちらも来ないといった残念な運行をしていました。これをなるべく等間隔にしていこうと指針が出たのです。鉄道とバス、会社も異なる事業者が連携・協業をしようという画期的な内容です。

日本交通バス若桜線は1日16便、若桜鉄道は15便となると、合わせて31便。これがもし等間隔にできるとおよそ30分間隔で若桜谷と鳥取駅が結ばれることになります。これは若桜谷が鳥取駅にアクセスできるもっとも便利な地域になることを意味します。ここまで便利になると「交通が不便だ」と引っ越す理由は無くなるでしょう。

バスと鉄道の並走区間の定期券共通化(事業14)

列車とバスのダイヤを等間隔にした上で、定期券の共通化が実現するとどうなるでしょうか?

朝は渋滞の心配が無い列車でさっと通勤し、帰りは残業や買い物をして使いやすい時間に来るバスか列車を選んで帰る。そんな事が可能になります。つまり、通勤にも公共交通を使いやすくなるのです。若桜谷の通勤移動は通学移動の6倍のボリュームがありますが、ほとんどがクルマで通勤しています。通勤用のクルマは、昼間は駐車場で一日中お休みしていたりましますが、維持費は年間70万円ほどかかっています。クルマ通勤が公共交通になれば家計も助かりし、渋滞も減るし、運転時間が読書時間や居眠り時間に生まれ変わります。これ、いいでしょう!

乗り継ぎ割引(事業14)

鉄道やバスは初乗りの運賃が高く設定されています。ここで、会社をまたがって切符や定期を買うと、運賃がドンと高くなる事がおきます。例えば、鳥取駅から郡家駅まではJRなので240円ですが、さらに八頭高校駅まで1駅分若桜鉄道に乗ると100円プラスで340円になってしまうのです。ここを例えば300円程度に抑えられないかというのが乗り継ぎ割引です。

若桜鉄道に乗らず、郡家駅から歩く生徒さんも多いですし、若桜鉄道沿線でも郡家駅まで送迎するご家庭も多いので、これが実現できると送迎せずに済みますし若桜鉄道も増収になったりします。

乗り継ぎの改善(事業7)

駅に着いても、次のバスが数時間後・・・これではクルマを使ってしまいます。そこで、接続時間についても目安が設定されました。また、乗り継ぎをする時に、吹きさらしのバス停で待たないで済むよう、待合環境の改善も岩美駅などで計画されています。郡家駅・若桜駅についてはすでに待合室などが整備されています。

調査結果も画期的

これだけではありません、若桜鉄道のアンケート調査でも画期的な内容となっています。特に、若桜鉄道については若桜町・八頭町の住民2400人を対象に調査を行いました。

若桜鉄道の存続を望む方が9割も

若桜鉄道を残すべき・なるべくなら残すべきと回答した方がおよそ9割いらっしゃいました。八頭町は私都や郡家など若桜鉄道が走らない地域も多いのですが、それでも9割です。

協力したい方が8割も

どの地域でも「鉄道は無いよりはあった方が良いんじゃない、自分には関係ないけど」と思う方は多いのですが、若桜鉄道が幸せなのは、なんと8割の方が「若桜鉄道存続に向けた取組へ協力する・できるだけ協力する」と回答されていることです。

しかも、およそ4分の1に相当する24%の方が経済的な支援やボランティアなど、金銭や時間の痛みを伴う支援を表明されているのは驚きです。ここまで熱い思いで支えていただけるとは、本当に幸せな鉄道です。

利用促進に望むこと

汽車の本数を増やしてほしい、バスや因美線との接続を良くしてほしい、運賃を下げて欲しいといった運輸面の要望は上位を占めており、今回の計画でも対応を図っています。

特異なのは「イベントを実施してほしい」がおよそ5分の1の22%も回答があることです。これは、ここ2年間の若桜鉄道のイベント活動が住民の皆様にインパクトを与えている結果と思われます。

若桜鉄道のイメージ

クルマを運転できる人がおよそ7割のため、今、自分が使うというよりも、使いたいときに使える、家族や観光客が使える、子供や孫の世代に鉄道が残せるといった自分以外の人の利便性を考えた回答が多いのが特色です。「鉄道やバスは自分が使わないから関係ない、興味ない」となる地域もある中で、若桜鉄道沿線の方々は思いやりがあります。また、「車窓を眺めたり本を読んだりしてい快適に移動できる」も7割の方が回答され、今後の自動車からの移転も期待ができます。

「田園地帯を鉄道が走るという良好な環境を楽しめる」「若桜谷の象徴的な存在で沿線住民の誇りとなるばかりか、町外・県外に若桜谷をアピールすることができる」「地域の一体感がある」といった、地域の絆となる役割にも高い回答があったのも画期的なことです。若桜鉄道は単なる輸送機関以上の役割を担っていると改めて身が引き締まる思いです。

いただいたコメント

  1. これは、すごいというレベルですね。またシェアさせていただきます。
  2. 県の計画の中で若桜鉄道をこれほど重視するのは画期的なのでしょう。交換施設に係る工事費はどの程度なのでしょう。JRとの乗り継ぎ割引は、JRと折半で負担することになるのでしょうか。
  3. 山田さん就任前にもSLの譲渡や隼などの守る会といった民間の方の活動が盛んでした。でも、就任後にそれまでの若桜鉄道のイメージを一新したチャレンジやプランニングといった事が無ければ、ここまでの計画は生まれなかったでしょう。
    それに共鳴する人たちが多数存在したことも大きかったと思います。
  4. こちらもシェアさせていただきます。
  5. 観光誘客と地元利用の掘り起こしの両面で威力を発揮できる
    計画ですね。… さらに表示
  6. 本当にいい計画になりましたね。あきらめないでよかったです。あとは実行あるのみ。私も引き続き頑張ります