合同会社日本鉄道マーケティング

2.「繋ぐチカラ」で持続可能に

市民・行政・事業者

地域公共交通の持続に必須となる「住民」・「行政」・「事業者」間の合意形成

交通需要は通勤・通学・通院のように交通以外の目的で生じます。これは「派生需要」と呼ばれ、交通だけでは需要が作れません。そのため、鉄道の需要減少を解決するためには地域におけるまちづくりとの連携が必須となります。しかし、地域公共交通への関心が薄く相互理解が深まらない中、行政と民間(特に独特な用語がある交通事業者)では言葉も違うので、コミュケーションは円滑に進みづらいのです。範囲も広く時間もかかるまちづくりに必要な合意を形成するには、

  • それぞれの立場を理解し対話すことができる経験とコミュニケーション力
  • 多様な立場・事情の下で合意されるビジョンを構築する構成力

が必要となります。

合意形成に向けた課題

関心・知見を高め対話・相互理解・相互信頼関係を築き合意を形成するには、以下のような課題を乗り越える必要があります。

住民の課題

公費支出承認・鉄道利用と最も大きな役割と権限を持つのが住民ですが、以下の課題があります。

  • 公共交通への関心が薄い。自動車を利用できない方の生活が想像しづらい。
  • 多様な立場・性格・力関係
  • 専業ではなく知見が高まりづらい。鉄道は50年・100年と続くが住民運動が起きても長期的な持続が難しい。
  • 町内会など地域内のまとまりが衰弱しつつある。
  • 鉄道は地域をまたがるが、住民側は広域の関係性が薄い

 

行政の課題

公費支出の執行権(予算策定・執行)を担う地方公共団体(都道府県・市町村)には以下のような課題があります。

  • 鉄道事業の経験・知見が限られる
    専門職がごく少数に限られる。鉄道事業が地域に移管された歴史は浅く、ノウハウの蓄積が道路に比べて薄い。
  • 公共交通は交通事業と地域地区ごとの事情を熟知する必要があり、範囲が広い
  • 実態は収益事業から公益事業へ転換しているが、制度は収益事業のままになっている
    収益事業>公益事業への捉え方の違いの例:
    赤字>地域公共投資、人件費>地域雇用と給与
  • 年次予算
    鉄道の設備投資は数十年先を見通した計画となるが、単年度予算と整合しづらい面がある。特に減価償却の概念が無く、収益が出ても設備投資のために無税で積み立てることが難しい。
  • 縦割り体制
    鉄道の便益と不備による影響は、教育・医療・福祉・防災・商工観光振興など多方面に渡るが、範囲が広すぎるため交通事業単独で狭く捉え議論されがちになる。交通政策基本法6条には都市計画・観光計画と交通計画の一体化が示されているが、実態はそれぞれの部局が別々に計画を策定している。
  • 広域事業と温度差
    市区町村の区域を跨る鉄道は、便益と影響が地区ごとに異なるため、必ず温度差が生じ、投資や負担に対して市区町村間での調整が発生し、議論が長期化する。市道・県道・国道、1級河川・2級河川のような区分けが鉄道には無く、路線ごとに都道府県・市町村間で調整するスキームを構築する必要がある。
  • 市民参画手法が確立していない
    まちづくり計画では市民参画が広まっているが、交通はダイヤなど目にみえづらいソフト事業の領域であるため、市民参画による実態把握と合意形成を行うレベルに達してる地域は一部に限られている。

事業者の課題

運行・事業維持の実権と責任を担う交通事業者には以下の課題があります。

  • 収益悪化による資源・投資不足
    極限まで人と人件費を減らしているため、企画調整への人員が割きづらく、さらにジリ貧になりがち
    メンテナンス投資も先送りされがちなため、将来的に大きな投資が必要となる
  • 相手が多すぎる広域事業
    複数の市区町村をまたがり、多数の利用者があり、多くの職員が従事している
    また、地域の商工観光にも影響があるため、ステークホルダー(利害関係者)が多岐に渡り、個別の折衝・調整先が極めて多い
  • 収益事業から公益事業への転換
    安全運行という事業や作業は変わらないものの、事業目的が「収益」から「公益」へと変わるため、その変化が捉えられづらい
    特に現場はシフト勤務のため、理念の徹底と浸透には時間と費用がかかる
    従来:利益を上げて事業を継続する
    転換後:公益性を高め地域を振興させ事業を継続する

メディアの課題

メディアには問題提起と啓発など重要な役割がありますが、以下の課題があります。

  • 購読者数・視聴率の影響
    市民の関心ある事に絞り報道しがちで、重要であっても関心が薄い交通問題は取り上げられづらい
  • 短純化・パターン化
    報道にはわかりやすさが求められるため、概念的な変化を取り上げづらい
    従来と変わらない 赤字>存続問題>税負担 というパターン化された収益問題の報道になりがち

日本鉄道マーケティングの役割

日本鉄道マーケティングでは、合意形成に向けた課題把握から、その解決に向けた伴走までご支援いたします。

  • 課題解決に向けた調査・原因分析・解決策の立案から立上げまでの支援
  • 課題解決に向けた社員・関係者への講習・相談、公益事業に向けた社内風土改革
  • 沿線住民・行政に対する広報・啓発・合意形成への戦略と作戦作り、実行支援・指導

解決までのステップ

  • STEP1: 課題把握
    資料調査・現地調査・聞取り調査などを通じ、地域と公共交通に起きている課題を特定し範囲を絞り込み理解しやすく説明できるようにし、共通認識を作ります。課題の把握が甘いと、重要な課題が見過ごされ重要でない課題の解決だけで済まされてしまうなど、有効な解決に至らなくなる恐れがあります。
  • STEP2: 原因特定
    課題が発生している原因を推定し、データ等で検証を行います。「なぜなぜ分析」などで原因を掘り下げることにより多様な問題を引き起こす大元を探り当てます。原因を深掘りせずにいきなり対策を始めると、原因が解消せず一時的に改善しても元に戻ってしまう事が多いため、この段階は非常に重要です。
  • STEP3: 理想像(ビジョン)作り
    課題が解決され、より良い状態になるビジョンを仮作成し、現状維持の延長線にある未来と比較できるようにします。現状だけを前提にすると、問題が解決されず対処療法に留まる恐れがあるのと、議論する方々がバラバラの未来像を前提に持ってしまい合意形成が成り立たなくなる恐れがあります。
  • STEP4: 実現方法作り
    課題解決に至る道筋を探り、改善が最も効果的に効く場所を特定していきます。この際に、不足する資源・人材・知識などを調達する手段も考えます。先に目標を立てて、実現方法を考える事をバックキャストと呼び、確実に理想像に到達するための手法です。
  • STEP5: 伴走支援
    行政・住民との対話を持ち、自ら考えた「我が施策」として作り上げ、これが立ち上がるまで共に行動する伴走支援を行います。

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1.若桜鉄道での実績

 

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