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第30回日本災害医学会総会・学術集会記念大会シンポジウムにてRail DiMeC研究会は4本の発表を行いました。
Rail DiMeC(鉄道の災害医療への活用)研究会の紹介
抄録 災害医療派遣チーム(DMAT)のHPに、阪神淡路大震災での初期医療体制の遅れから、避けられた災害死が500名に上ると考えられ、臨時医療施設の開設と重症患者の広域搬送の必要性が記されている。自衛隊やDMATが被災地に最初に到着し、その後赤十字などの災害医療チームが続々と救援活動に加わっている。しかし、最近の目覚ましい技術の進歩を見ると、今まで注目されていなかった「鉄道」が上記の問題解決に大きく貢献できる可能性があるのではないか、と考えるに至った。被災地では、がれきを取り除けば線路を確保できるが、停電では電車が使えないと考えるのが一般的である。しかし最近では蓄電池搭載型電車が開発され、電化区間では架線からの電気で通常走行すると同時に、蓄電池への充電を行う。非電化区間では蓄電池を使って走行する方式で、これは災害・停電時にも活躍が期待される技術である。また、日本赤十字社が全国17か所に準備している国内型緊急対応ユニット(dERU)は、臨時医療施設を開設するためのものである。被災地がどこであれ、鉄道貨物コンテナを用いれば被災地の近くまでそれを医療スタッフと一緒に運び、トリアージや大人数の患者搬送に使えるであろう。このようなアイデアの実現には、従来の地方自治体、厚生労働省(DMAT)、日本赤十字社などの他に、国土交通省や鉄道事業者も災害救援の司令塔の枠の中に入れるような仕組みが重要と考える。
第30回日本災害医学会総会・学術集会記念大会シンポジウム抄録集より
シンポジウム2 1 日目(3月6日)9:10 ~ 10:40
第4会場(交流センター3階 第3会議室)
災害医療における鉄道利用の可能性
座長 小早川義貴(国立病院機構本部DMAT事務局)
島津 和久(兵庫県災害医療センター 救急部)
SY2-1 医療と鉄道の関わり ―その歴史、海外の現状、そして私たちの取り組み
早稲田大学 医療レギュラトリーサイエンス研究所 梅津 光生
SY2-2 災害医療における鉄道の利用(被災地への医療隊投入)
兵庫県災害医療センター/Rail-DiMeC研究会 島津 和久
SY2-3 災害時における鉄道を用いた多数患者搬送の実現可能性:
令和5年度近畿地方DMATブロック訓練における実証的検討
兵庫県災害医療センター/鉄道の災害医療への活用研究会(Rail-DiMeC研究会) 甲斐聡一朗
SY2-4 技術面から見た災害医療への鉄道利用の特徴
早稲田大学 医療レギュラトリーサイエンス研究所/(一社)日本鉄道車両機械技術協会 小峰 輝男
SY2-5 貨物鉄道輸送の特徴と大規模災害発生時の役割
日本貨物鉄道株式会社 石井 智
(Rail DiMeC オブザーバ)