
やさしい交通しがは、学識・市民活動家・事業者から成る滋賀県で交通まちづくりの人材育成を進める市民団体です。日本鉄道マーケティングでは、この活動の設立から、現在に至るまでメンバーとして活動を継続しています。概要は[プレス説明資料]をご覧ください。
目次
背景
滋賀県最古の私鉄である近江鉄道線が、24年連続の営業赤字を経て、2024年より上下分離方式へと移行した。これにより、鉄道は税金で支える公共資産(県民がオーナー)としての性格を強めた。
転換: 鉄道をどうするかという存廃議論から、鉄道で(まちを)どうするかという活用議論へのシフトを提唱している。
人材育成の重要性: 交通をまちづくりに活かすコミュニティ・アーキテクトの育成に注力しており、国交省の共創モデル実証プロジェクトの採択を受ける。
やさしい交通しがの設立と理念
設立の経緯
2021年7月に滋賀で開催された人と環境にやさしい交通をめざす全国大会を契機に、専門家や実践家が集まり、2023年6月に任意団体として設立された。
主要メンバー
産学官民の多様な専門家が結集している点が特徴である
代表 宇都宮 浄人 関西大学教授(経済学・公共交通政策)
副代表 南村 多津恵 市民活動コーディネーター、ファシリテーター
監事 松原 光也 名古屋大学大学院研究員(交通政策支援)
事務局 芝 光生
活動コンセプト
やさしい交通しがは、以下の戦略的視点を提示している。
オーナーシップの確立: 上下分離により税金が投入されることは、滋賀県民が鉄道のオーナーになったことを意味する。
視点の転換: 鉄道を存続させるための議論ではなく、まちづくりのために鉄道をどう使い倒すかに焦点を当てる。
滋賀県民の特性活用: 交通には無関心だが地元が大好きで、まちづくりへの参加意欲が高いという県民性を、交通まちづくりの原動力に変える。
市民による交通まちづくりの実践と成果
近江鉄道全線無料デイの衝撃
2022年10月16日に実施されたこの施策は、市民活動が鉄道の価値を再認識させる大きな転換点となった。
来客数: 約3万8000人(通常の13倍)。
地域連携: 沿線の17団体が協力し、11駅で連携イベントを開催。
効果: 普段鉄道を利用しない層が乗車し、鉄道が人を運び、地域経済を活性化させる効果を住民が直接体感した。これにより無関心の改善という素地が形成された。
人材育成事業まちづくりと交通の広場しが
国土交通省の共創モデル実証プロジェクトの採択を受け、交通まちづくりを支える人材(モビリティ人材)の育成を展開している。
2023年度の実績: 近江鉄道沿線を中心に、4回のフォーラムとフィールドワーク、フォローアップ研修を実施。
活動の拡大: 設立1・2年目は近江鉄道沿線に注力したが、3年目(2025年度)からは滋賀県全域へ活動を広げ、滋賀地域交通ワークショップと連動した取り組みを行っている。
成功する市民活動の要素
市民活動を社会変革につなげるための鍵として、以下の要素が挙げられている。
補助事業の戦略的活用: 国土交通省などの人材育成補助金を活用し、持続可能な活動基盤を構築する。
多層的なネットワーク: 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会のような全国規模のプラットフォームと連携し、知見を共有する。
専門家と現場の融合: 経済学、建築学、社会学、鉄道事業者、NPOなど、多様な主体が役割分担(マネジメント、ファシリテーション、調査研究)を行う。
可視化と合意形成: ワークショップを通じて住民の想いを可視化し、空間づくりやサービス改善の合意形成を進める。
結論
滋賀における取り組みは、単なる地方鉄道の救済ではない。鉄道を地域資産と再定義し、市民が主体となってまちづくりに活用する新しい公共のモデルを構築する試みである。上下分離という制度の仏に、市民活動という魂を入れることで、持続可能な地域社会の実現を目指している。
やさしい交通しがの公式ページ
やさしい交通しが 活動年表
2021年
- 7月17日〜18日:人と環境にやさしい交通をめざす全国大会2021 in 滋賀が開催される。これが本団体設立の直接の契機となる
2022年
- 9月:全国大会の参加者による交流会が開催される
2023年
- 6月:人と環境にやさしい交通まちづくりプラットフォーム滋賀(やさしい交通しが)が正式に設立される
- 9月23日:プレ企画として、福井市のカーフリーデーふくいを視察
- 10月9日:第1回フォーラムまちづくり×交通で地域を元気に!をアピアホールで開催
- 10月14日:フィールドワークとして、近江鉄道沿線のイベント(100円デイに合わせた地域行事)を視察
- 11月12日:第2回フォーラム交通を変えることでQOLを上げたまち・福井を八日市で開催
- 11月13日〜12月10日:自主フィールドワーク近江鉄道沿線の広場を探そうを実施
- 12月10日:第3回フォーラム私たちのまちと交通どないする?を開催
- 12月16日:第4回フォーラムみらいのまちと交通を考えようを開催し、17名の受講者に修了証を授与
2024年
- 1月29日:フォローアップ企画これからどうする会議をオンラインで開催
- 2月11日:彦根市のOn Your Markにて学習会と企画ミーティングを実施
- 2月23日:東近江市のわくわくこらぼ村に出展し、活動をPR
- 3月16日: 第11回 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会(長野県上田市)にて発表
- 9月〜10月:全3回の市民活動プロデュース講座を開催
- 10月19日:プロジェクト2駅バル事業を、近江鉄道のガチャフェス2024に合わせて鳥居本駅・フジテック前駅で実施
- 11月5日:中部路面電車サミット(三重県 いなべ)にて報告
- 11月〜2025年1月:全5回のプロジェクト3ジオラマプロジェクトを開催
2025年
- 1月26日:プロジェクト1コミュニティ・モバイル・カレッジ(CMC)の第1回セミナーを開催
- 2月11日:成果発表・地域交流会まちのわ会議を蒲生で開催
- 3月28日:ビジョン会議2025を開催。活動範囲を近江鉄道沿線から滋賀全域へ拡大する方針を策定
- 7月13日:MLGs推進委員会と共催で沿線を電車でめぐってつながるMLGs交流ワークショップを開催
- 8月4日:滋賀県庁にてまちと交通の未来づくりフォーラムの記者会見(プレスブリーフィング)を行う
- 8月7日:スタッフ講習会(第0回)を彦根市で開催
- 8月21日〜11月30日:まちと交通の未来づくりフォーラムを滋賀県内(彦根・草津・日野)で計11回(全体会2回、フィールドワーク9回)開催
- 8月23日:第1回フォーラム(全体会)を草津市で開催
- 8月25日:中部路面電車サミット(富山県 射水)にて報告
日野フィールドワーク駅を中心ににぎわうまちづくり
- 8月21日:まちをめぐって日野の交通を考えよう
- 9月11日:駅起点のまちづくりのすすめかた
- 10月12日:駅起点の地域活性化イベント企画実習
- 8月23日:第1回フォーラム(全体会)を草津市で開催
彦根フィールドワーク公共交通を活かした観光まちづくり
- 9月7日:彦根の観光と公共交通を知ろう
- 9月21日:実際に乗ってあちこちめぐってみよう
- 11月23日:作った観光プランを実施してみよう
草津フィールドワーク誰もが暮らしやすいまちづくり
- 10月19日:自分のまちと課題をもっと知ろう
- 11月上旬:暮らしと交通の現場を見に行こう
- 11月9日:未来のまちをみんなで描こう
- 11月30日:第5回フォーラム(全体会)を彦根市で開催。広場しが2025からの提案を公表
- 12月21日:ひのの環フェスタに出典
2026年
- 1月25日:再生塾北陸ワンデイセミナーにて、これまでの活動戦略と成果について報告

















