理不尽と思える状況

地域の足をなんとしても守ろうと爪に火を灯すような節約をし、給料も低く抑えギリギリの人員で苦労しながら安全運行を守っているのに、地域の方々はなかなかわかってくれません。「鉄道は残して欲しい」と言いながら乗ってはくれないし、人口が減っているのに行政からは利用客が少ないと文句を言われるし、あげくの果てには地域の行事に「協力して欲しい」と負担まで求められる。一方では、「もう車社会なんだから鉄道は時代遅れ」と言われたら、モチベーションを保つのも大変です。多くの地域鉄道は、使命感だけを支えに報われない仕事を粛々と続けています。

地域鉄道に加わった使命

一方、財政が厳しい地方自治体が大きな負担をしてまで地域鉄道を残そうとしているのは、ご承知の通り鉄道が無くなると地域が更に寂れてしまうからです。という事は、地域鉄道には「安全輸送」という使命だけでなく「地域を寂れさせたくない」「負担を減らして欲しい」という使命も加わっているのです。この新しい使命を社員が認識しておらず、地域からの要望を断ってしまう地域鉄道が多いようです。鉄道を支えている地域が求めている事を果たさなければ鉄道は味方を失い、より悪い事態に追い込まれてしまうので、これは危険な事です。

地域の活性化と自社の経営改善をセットで考え行動する

「地域を寂れさせないのが地域鉄道の使命」と言われると「自社を支えるのもやっとなのに、そんな広い事、背負いきれない」と思われたかもしれません。しかし、地域が更に寂れたら鉄道の赤字を負担できなくなるので鉄道も生き残れません。地域と地域鉄道の関係はショッピングセンターとエレベータの様な物で、エレベータ単体で採算を取るのではなく、地域と一体で稼いでそのお金でエレベータを維持するのが自然な形なのです。

となると、地域鉄道が地域に人やお金を呼び込み、現地で食事・買い物・宿泊させる事でお金を落とす様に仕掛け、地域鉄道は旅客運輸収入だけでなく旅行業として集客手数料や販売手数料で稼ぐというモデルが考えられます。地域に人やお金を呼び込むための活動ならば、地域の理解や協力も得られやすくなります。「お願いです、乗って下さい」から「うちは人も金も無いが、一緒に汗を流して地域の魅力を外に発信して人やお金を呼び込みましょう」と変わる事。地域の方々を「一緒に組んで稼ぐ同志」と捉え直すと、地域との関係は必ず変ります。

2013年11月に成立された交通政策基本法では、地域交通に対し地方自治体の更なる関与が求められています。今後、各自治体での公共交通計画策定の段階で地域鉄道が地域の広告塔や観光の呼び水として貢献する位置づけを確立できれば、存続を一層堅い物にする事ができるのではないでしょうか?逆に、地域の方々が無関心なまま、公共交通の事をよくわかっていない自治体担当者によって公共交通計画が作られると、鉄道と鉄道を培養する二次交通のバスは生き残りが難しくなってしまいます。

沿線地域へのインターネット広報で鉄道を衛る

地域鉄道が無くなる最大の原因は、存続反対の声ではなく無関心です。普段の生活で公共交通を使わなくなった住民は、鉄道を忘れてしまいます。「あっても無くても関係無い」と思われてしまったら、小さく無い負担に合意は生まれづらくなります。そのため、地域鉄道にとって、沿線地域への広報活動が重要になっています。鉄道の置かれた状況、頑張っている事、成果、イベントなどをわかりやすく伝え続けることで、無関心や誤解を減らし、前向きな対話ができるような環境を形作る事ができるようになっていきます。

この広報活動も、今まではお金をかけて紙を配る必要がありましたが、今はインターネットを使う事で効率的・効果的に行う事ができるのです。

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