2025年の年始に将来の夢を描いてみました。

物流の再生

国際港湾の集約と大規模化

従来国際基幹航路の寄港が減り続けてきた国際港湾は、規模の経済を追う世界の潮流に乗り津軽海峡港に集約され、北米航路の寄港が激増し国際輸送リードタイムとコストが圧縮された。津軽海峡港はオンドックレールで鉄道と結節され後背地輸送も効率化され、国際コンテナ輸送はインターモーダル化された。従来の戦略港であった京浜港阪神港はフィーダー港となったが国際コンテナ輸送が激増したため取り扱い量は増え、自動化により担い手不足も解消し港湾は24時間化された。港湾の高度化が進んだことで港湾事業者は国際競争力を強め、海外コンテナターミナルへ運営への進出が進んだ。

トラックドライバーの最低賃金が建築業と同様に法制化されたことにより、多重下請けや運賃ダンピングが解消され、鉄道・内航と適正な競争となり、長距離輸送は内航船と鉄道にシフトが進んだ。トラックは機動性が活きる中短距輸送・配送に特化した結果、ドライバーは長時間労働や泊まり勤務から解放され毎日家に帰れるようになり、事故も減り、事業者も経営が安定し、担い手不足も解消された。物流コストが下がり、排出ガスも減り、日本の国際競争力も高まった。また、トラックはトレーラー化と台切りによりドライバーは荷役の重労働からも解放された。鉄道貨物輸送は激増し高収益となった。これにより貨物鉄道輸送に向けた設備投資も行われ、ダイヤも確保され並行在来線も線路使用料の収益が上がり、経営基盤が安定した。従来は海外プロジェクトを中心に手掛けていた総合商社も国内参入し、国内物流インフラの改良プロジェクトが次々と立ち上がった。

物流加工倉庫群ロジスティックパークと高速道IC、貨物駅、港湾が結節しているオランダBenlo¥¥¥

 国内輸送はトラック・鉄道・船舶の各輸送モード間で互換性がある20ft/40ftコンテナユニットロードが主流となり、国際輸送と国内輸送が統合され空きバン回送も効率化された。全体最適化も進み、港湾・高速道インターチェンジ・貨物駅・ロジスティックパークが近接するか基幹道路で直結されるようになった。これにより横持ち輸送が効率化されただけでなく、モード間の連携が高まった。通常はリードタイムとコストで最適なモードに振り分け、異常が起きたら正常なモードに即座に振り替えがされるシンクロモーダル化され、冗長性のある効率的な基幹輸送体系が出来上がった。

 20ft/40ftコンテナ標準化が進むことで、パレットサイズも標準化が進んだ。コンテナに効率良く積載でき輸出入にも使えるユーロパレット化を流通業が主体となって定め、納品基準とした。これによりパレットの統一が進み、国際輸送とも共通化されることで規模の経済で単価が下がり、全国各分野に普及が進んだ。倉庫業も規格が統一され機械化・効率化が進んだ。こうした物流の効率化により、鉄道や港湾は取り扱いが増え単価が下がっても高収益となり納税し、国は交通インフラ投資の財源を得て道路と新幹線以外にも投資ができる様になり、さらなる物流の効率化と環境対応が進むようになった。

地域公共交通が地域の公共インフラに

通勤渋滞対策と企業繋ぎ止め、まちづくりのツールとして建設された芳賀宇都宮ライトレール

 公共交通の単独収支と赤字負担という収益事業扱いの考えは改められ、経済発展・住民幸福と安全を支える公共インフラとして外部性が可視化され、投資対公益性が評価されたうえで投資が決定され、以後はモニターされるようになった。これにより公益性と効率性がバランスされる様になり、運行事業者の無理な経営や投資不足はなくなり、全体最適かつ快適便利な移動ネットワークが各地に作られる様になった。また、事業者間の縄張り争いも解消し、ゾーン運賃や連携ダイヤなどへと全体最適化される様になり、乗り継ぎで定期代が高額になってしまう事も解消されドアtoドアが結ばれやすくなった。

 自動車の社会的費用の観点からガソリン税の使途が見直され、都市の空洞化・スプロール化への対策にも使われるようになり、公共交通と連接した都市計画を推進しやすくなった。駅周辺に集合住宅や企業が集約される様、土地利用計画に合わせて公共交通のサービスレベルも調整することで、都市の集積誘導力が強まり、駅前など交通結節点に賑わいが生まれた。駅近くは一斉高齢化と消費減少を防ぐため高層賃貸住宅とオフィス、商業施設が集約し、若者の小商いなど新業態が生まれるインキュベーション機能も置かれ、これが地域の個性と魅力ともなった。郊外の一戸建ても長期投資回収型の堅牢な構造で内装を更新しながら数世代が入れ替わり住み続けられるスケルトンインフィル型の安価な賃貸住宅化が進んだ。こうして災害に強い都市となり、子育てなどのライフステージによって賃貸住宅を住み替える形態に社会風土も変化し、オールドタウン問題・駅前空洞化問題も緩和していった。

こうして公共交通が活かされた地域経営がされると、渋滞も解消し出歩きも促進されたため、自動車の利便性はむしろ上がり、需要は下がらず自動車産業は引きつづき日本経済を支え続けている。

情報システムの規格化と目的別政策化

API通信が規格化された国際コンテナ情報システム

物流や人流の把握と管理は国際コンテナ輸送をベースに手続き・データ・システム間通信の規格が作られ、標準化されたAPI通信で結ばれる形に再構築された。こうしてシステム上でも国際輸送とも連携が可能となり、国際BL決済と同様に、海外フォワーダーが日本の貨物鉄道を直接予約することも可能となった。また、従来は荷主ごとに異なる輸送手続きだったものが標準手順に規格化され、輸送マッチングも激増し物流効率をさらに押し上げた。こうして、輸送資源がリアルタイムで共有化されることで、道路・鉄道・船舶がコンテナをジャストインタイミンで輸送するサプライチェーンネットワークが作られるようになった。こうしてシステム連携が容易になり、統計データも構造が見直され整理され、自在に組み合わせて集計ができる政府データウェアハウスへと進化した。

物流はインターモーダル化され、公共交通も都市整備と一体化されたので、従来の航空・船舶・鉄道・自動車という輸送モード別の縦割り政策が実態が合わなくなり、国土軸幹線、政令指定都市基盤、地域基盤と目的別に政策が作られるようになった。

災害輸送

被災地から鉄道で傷病者をケアしながら搬送(Rail DeMec研究会)発災時に一気に需要が急増する傷病者輸送や支援機材・人員の輸送に鉄道が活用されるようになり、復興が早まった。特に被災地の医療施設は被災により能力が落ちる上に需要が激増するためひっ迫していたが、傷病者・慢性疾患者の鉄道による広域搬送により、需給バランスが取られるようになった。また20ft/40ftコンテナ標準化により、医療コンテナなど復興に必要な機能もモジュール化され、機動的に被災地に送り込まれるようになった。これらはサプライチェーンネットワークにより、移り変わる復興需要に機敏に応えられるようになった。

今は夢です

いろいろと解決しなければならない事も多いので、今は「夢」の段階です。でも、皆が実現を願い行動を始めると夢は現実に向かって動き出します。もし、こんな夢の実現を一緒にやってみたいと思われたら、ぜひお声がけください。