合同会社日本鉄道マーケティング

若桜鉄道での実績

テーマ

日本で初めて上下分離された路線が赤字化。公募社長として就任し、過疎高齢化が激化している地域の再生に鉄道を活用

原因

  • 沿線の農業・雇用が縮小し鳥取市への就業が進み、交通不便もあり人口が転出
  • 過疎化少子化による高校生の減少
  • 道路整備>自動車移動主体>鉄道通勤の喪失
  • 観光鉄道化を図っていたが、SL運行への合意形成が進まない

解決手法(概要)

以下を約3年間で実施(交換施設や観光車両は退任後に竣工)

  • 人口減少の大元は沿線地域の雇用縮小であったため、鉄道を資源に観光を業立ち上げ、雇用創出を図る
    従来は「鉄道維持のための観光鉄道化」であったが、「地域問題を解決するために鉄道を活用」と目的・発想を変えた
  • 合意形成のため沿線外を含む地域各地への説明・講演巡業、行政と毎月情報共有
  • 就任式の取材に来たTV・新聞メディア全員と名刺交換しプレスリストを作り、パブリシティで広く発信。
  • SL走行社会実験により若桜鉄道は地域の観光軸として認められ、交換施設による増発・観光車両・人材育成などへの投資へとつなげた
  • 人口転出理由のトップが「交通が不便」であったため、増発等への計画策定を進め交通不便の解決を図った

手法(詳細)

地域との関係改善

  • 沿線自治体内の各集落に向けた講演会などで鉄道を活用し観光で地域を振興するビジョンを提案。
  • 自治体との情報共有・相互理解のため月例会議を開催。
  • 鉄道の発信力を活かしたパブリシティにより1万人規模の集客。鉄道の実力を示し価値を再認識いただく。
  • JRやバス事業者と連携した地域振興を推進。
  • 地域住民による若桜鉄道もりあげ隊の結成を支援。

通学定期券客の増加策

  • 過疎債を活用した通学定期助成を提案し実現。
  • 新入生への鉄道通学の紹介により、自家送迎から通学定期券への転換を促進。
  • 鉄道の収益改善、高校校門前の渋滞緩和、送迎の負担軽減、鉄道通学による高校生の交流促進などを実現。
    若桜鉄道中学卒業生説明会

地域と鉄道の持続性向上

  • 地域と鉄道の持続性を高める雇用創出による人口転出緩和を目指し、観光業の立ち上げを提案。
  • 観光資源や資金も無い地域であり鉄道会社の体制も脆弱なため、鉄道を観光資源とし、自治体・地域住民とともに観光業を立ち上げた。
  • 転出理由のトップであった「交通不便」を緩和するため、列車の増発に向けた設備投資を推進し実現した。鳥取県東部地域公共交通計画では平行する路線バスと協調ダイヤ・共通定期化、JRとの乗継割引等も盛り込まれ、これが実現すれば経費増無しで県内でトップレベルの公共交通サービスとなる。

地域と事業者の体力に応じ、地域と連携し観光業を段階的に立ち上げ

若桜谷観光号

当初は投資不要ですぐに始められる手段として、普通列車に観光ガイドを乗せるだけの観光列車を運行。「若桜谷観光号」と列車名を付け、観光案内や車内販売を行うことで、沿線が観光地になることを発信し、地域の人と観光客の交流を通じてリピータ増を実現。

若桜谷観光号出発式

若桜谷観光号活用キャンペーン

若桜谷観光号を使い、沿線周遊を促すパンフレット等を製作。スキー場と提携した誘客キャンペーン企画等を推進。

氷ノ山キャンペーン

SL走行社会実験の企画

SLを1日限り走行させ、鉄道による地域発信・集客・経済効果を実証する実験を企画実行。各駅に守る会があり活動されていたため、当日に各駅でイベントの実施を呼びかけた。

SL走行記者会見

SL走行社会実験記者会見/鳥取県全媒体が参加

 

 

 

 

SL走行社会実験の結果

全国ニュースとなり、人口1万8千人の地に1万3千人が集まり、1日で1800万円の経済波及効果、広告換算効果4,745万円を出した。この社会実験は県・町など行政と地域住民と鉄道事業者・観光団体など28組織・380名ものボランティアにより実施され、鉄道を軸に県と2町が一体となる沿線の歴史で初の事態となる。これを受けて、若桜鉄道を地域の観光軸とすることが総合戦略にて位置付けられた。

SL走行社会実験

エージェント営業

鳥取県観光連盟に加入し、大阪・岡山・広島・東京などの商談会でエージェント向けにツアー造成を営業し、のべ3,100名150万円のツアーを獲得。

交通事業者が仕掛ける観光・地域づくりシンポジウム

観光化、地域公共交通計画策定への機運情勢を図るシンポジウムを企画。鳥取県・八頭町・若桜町と開催し、JR西日本・智頭急行・日本交通とパネル登壇し、交通事業者による観光・地域づくりの事例を紹介。

若桜鉄道交通事業者シンポ

交通・観光業ワークショップ

若桜鉄道交通観光WSSL走行社会実験の成功を受けて沿線住民に対し交通・観光業務の啓発を行うワークショップを企画。ツアー企画や受け入れについての人材を育成。

1000人規模のツアー

日本観光鉄道 野村浩志氏(元 山形鉄道 社長)の協力をいただき、1000人規模のツアーを誘致し地域における観光商材の開発を促進。

隼ラッピング車並走パレード

スズキと提携し、大型バイク隼のラッピングを製作。お披露目の際、バイクと並走パレードを行い、全国に発信。この開催には石破代議士、平井知事、町長など国・県・町と鉄道が協力してライダーを迎え入れる体制となり、スズキの鈴木修会長が初来県。隼ラッピング並走パレード

観光車両

車両の保全改修に合わせ水戸岡鋭治氏にデザインを依頼し、観光車両の導入を進めた。その後、同氏デザインによる駅カフェも開業。

観光車両昭和

観光車両昭和

 

 

交通不便の緩和

住民の転出理由のトップが「交通が不便」であったため、交換施設の増設投資を地域公共交通計画に入れることを推進し、退任後に竣工。列車本数1.5倍の増発を実現した。また、平行する路線バスとの協調等間隔ダイヤ・共通定期券化・JRとの乗り継ぎ割引なども地域公共交通計画には盛り込まれた。これが実現すると、追加投資無しに県内トップレベルの公共交通サービスレベルが実現し、鳥取市への人口転出が緩和されることが期待される。

八東駅交換施設

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2.近江鉄道での実績

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