公共交通で「一見さんお断り」は命取りになることを講演でお話いたしました。短いのでぜひご覧ください

意外に意識されていない大事なこと

  • 観光客が目に付きやすいが、本当に大事な新規顧客は地域の新しい定期客
  • 高校生は毎年1/3が新規顧客(顧客の入れ替わりを意識しよう!)
  • その新規顧客が公共交通の使い方がわらかなければ、公共交通の利用は激減する

地域の方の「常識」や「慣れ」によって、今までわかりづらかった公共交通の利用方法は親から子へ、先輩から後輩に伝え続けられてきました。しかし、自動車が移動の主流になると親もバスや電車に乗ったことがないという世帯が増えています。その中で今まで通り、初心者にはどう乗れば良いのかさっぱりわからないままだったら、新規顧客は入って来ず激減していきます。

マーケティングの世界で言う「パッケージング」とは商品やサービスを直感的に伝えて理解いただき、欲しい・使いたいという欲求を起こし、手軽に買える・使えるようにします。例えばお菓子なら、どんなお菓子か一目でわかる色遣いがあって、美味しそうな写真があり、簡単に持ち帰れ食べられるサイズや包装が工夫されています。1秒でわかるよう伝えるには極力シンプルにする必要がありますし、魅力を訴えるにはビジュアルが必要です。テレビCMで赤色をテーマカラーにしていてもお店では青色ではみつけてもらえません。ましてや敗れたり汚れたり、値段が書いていなかったら買いたくなくなるでしょう。公共交通の案内・サインはこれに相当します。

そしてもっと影響が大きいのは既存顧客の離脱

高校生が1/3入れ替わると書きましたが、去って行った高校生は何で移動しているのでしょうか?もし100%クルマだったら、公共交通の敗北です。3年間使い続け、乗り方も使いこなしも知っているのになぜ100%逃げ出すのでしょう?そこに大きな問題があると気づくべきです。「クルマには勝てない」は思考停止です。クルマを運転したく無い人も、いやいやクルマを選ばざるを得ない状況は、公共交通が機能していない事を示しています。「なぜ高校を卒業したお客様は全員逃げ出すの?」と考えることから始めなければなりません。そうすると使いづらいダイヤ、寒い待合環境や汚いトイレなど、いろいろな課題が見えてきます。そこを本気で改善していくことが明日の生き残りに繋がります。

顧客に来てきただきたいのなら

人は不快な環境から快適な環境に動きます。お客様に来て欲しいならこの図の右側になることが必要です。既存顧客が逃げ出す状態では、新規顧客をいくら増やしても顧客は減り続けます。顧客が使い続けたいと思える公共交通を作ることが、本当の利用促進なのです。

公共交通マーケティング研究会

この講演は公共交通マーケティング研究会 第11回例会 福井場所で行いました。私以外にも有意義な講演が多々ありますのでぜひご覧ください。講演資料もダウンロードいただけます。